忘れられない思い出

すもも

第1話いつも思い出すあの景色

大人になった今でも鮮明に思い出す景色がある。

剛と二人で帰った下り坂。いつも剛のとなりを歩いていたので、大好きだった剛の横顔とあの落ちそうになるくらいの急な下り坂が今でも忘れられない。

急な下り坂を降りるとそこにはオンボロで今にも潰れそうなラーメン屋があって、いつも食べてみたいけど入る勇気がなかった。


あれから20年の時が過ぎた。辛い時、悲しい時に思い出すのはあの、剛と一緒に帰った急な下り坂だ。


あの急な下り坂のように私達の仲も高校を卒業してからあっという間に下り坂だった。最後に剛から別れたいと言われた時も何故か心に浮かんだのはあの下り坂だった。できることならもう一度手をぎゅっと繋いであの下り坂を一緒に駆け下りたい、そんな衝動にかられたがそれを言い出すことはできなかった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る