Yuma.

始まり

笑えない‘恋’だと思った。

──それくらい君は別世界の人だった。




 ♢




俺が、“再出発”として選んだのは、縁もゆかりもない都会のど真ん中だった。


ガムシャラに作っていただけだった作品を自分以外の人に見られるというのは何とも不可思議な気持ちである。


「個展」のオファーを受けてから半年。衝撃は未だに忘れてない。


─ が、その時の俺は全く別のことで頭がいっぱいだったのである。





寒い春の事、私は郊区外から新しい学校にやってきた。


―― 前から散々言われていたことだったのだが、予想していたよりも遙かに多いその人数に息をいつの間にか忘れてしまっていた。


 知っている人は誰もおらず、この間まで一緒だった友人達を思い出して、胸のすく思いがした。


 曇りという微妙な天候の中、校門をくぐる。


「私は・・・3組、か」

1組から順にクラス表を確認し、中ほどに自分の名前を見つけた。


 佐倉̪栞、  サクラ、  シオリ。


―― 私は、まだ見ぬクラスメイトの顔を頭に浮かべながら、案内に従って階段に足を向けた。




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