あ、あんた、あたしに欲情したなら付き合いなさいっ!〜友達以上、でも恋人はおれ的になしの幼馴染女子が日に日に女子力………ではなくヒロイン力を向上させている件について〜
第9話 「………おれからしたら『やる気のないラッキースケベ』に対する一つの質問なんだよぅ」
第9話 「………おれからしたら『やる気のないラッキースケベ』に対する一つの質問なんだよぅ」
「菜々」
「はい」
現実に打ちのめされている間に、急いでスカートを履き終えた菜々に対しておれは極めて冷静に(………というかもう熱をこめて語るのが疲れたんだよ)問いかける。
「二つだけ質問がある」
「よし、ばっちこい」
「一つ目、何でおれの部屋で着替えてるんだ?」
「だって荷物ここに置いてるし」
「おっけー分かった。いつも通り答えになっていない答えだな」
「あたし、なんかおかしなこと言った?」
おれの方こそ何を言っているのか分からないといった菜々の様子にもう毒気が抜かれる。
荷物置いてるからっておれの部屋で着替えるなよ……おれが来る可能性を考えられなかったのかよ……他にも空いてる部屋ならいくらでもあっただろ……
そうツッコミたい気持ちをグッと堪えて二つ目の質問に行く。
「二つ目、さっきのやる気のない『きゃ、きゃ〜〜〜……』は何だ? そして何故スカートの履いてない下ではなく、ブラウスを着ている胸を隠した?」
「質問三つになってるけど?」
「………おれからしたら『やる気のないラッキースケベ』に対する一つの質問なんだよぅ」
鉄板でなおかつ王道の、気になるあの子の着替え見ちゃったイベントはこよなく愛されるべきものなんだよ。
それをビンタも、物を投げることも、しゃがみ込んで恥じらうことも、隠すには丈の足りないブラウスを必死に引っ張って下着を隠そうとすることもetc……、そんな初々しい反応が一切なくあまつさえ棒読みの悲鳴ときた。
ラノベ、アニオタのおれとしては見過ごすことのできないもはやこれは事故である。
「いや〜だってさ、さっき奏人が恥じらいを持てって言ったじゃん」
「言った。特にお前のようなタイプに恥じらいは必殺級の武器になる」
「だから恥じらってみようかと」
「どこが!? あれのどこが恥じらってるのさ!?」
「翠ちゃんと一緒に見たアニメだと、着替えを覗かれた時は胸を手でクロスして『キャーッ!』ってやってたし」
「それ絶対風呂前後の裸のシーンだろ」
「うん、風呂入る前にブラを脱いでる時だったかな」
「自分の状況鑑みて! お前がさっき隠すべきは下のパンツだよ!」
「どうどう奏人。落ち着いて、落ち着いて、また熱が入ってキャラ崩壊冒頭の心境と矛盾してる」
「誰のせいでこうなったと……」
「ほら深呼吸、深呼吸」
ーースゥ〜〜〜フゥ〜〜〜………スゥ〜〜〜フゥ〜〜〜………
「落ち着いた?」
「落ち着いた」
「で、さっきのあたしは何点?」
「三十点」
「低っ(笑)」
「せめてビンタかモノを投げるくらいしてくれ」
「え、奏人の部屋にあるモノって投げていいの?」
「…………ごめん嘘、嘘だからそのフィギュアに手をかけないで。そのRemりんCrystal Dress Ver-ほんと宝物だから。壊れると泣くから」
「はいはい、分かってるってば。そんなことしたら奏人のヒロイン採点点数下がりそうだし」
「おれのヒロイン……なんだって?」
「奏人のヒロイン採点点数」
「…………」
「…………」
はい、『欲情させる宣言』同様本日二つ目となる、変な造語が生まれましたとさ。
「……お前、さてはこの状況採点されるの楽しんでるな」
「ふっふ〜♪」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます