Sランク冒険者パーティーのサポート役をクビになった俺は、念願の錬金術師となりスローライフを送りたい
銀麦
1.追放 女盗賊の解雇通告
「スレイ、アンタはクビよ!」
パーティーリーダーである勇者ローランドの召集により、Sランクパーティー『
そんな中、第一声を発したのは『シーフ』の役割を担当する盗賊ブリジットだった。
「クビ? ……ブリジット、お前どうしたんだ、いきなり」
スレイはあまりにも唐突な物言いに、ブリジットに
「スレイは『
「……『サポーター』だが」
「そんな、あやふやな役割は『
ブリジットはスレイに対し子供じみた挑発をした。
確か年齢は
その為かガキンチョの悪口みたいな物言いが似合わない訳ではない。
(……なんなんだコイツ。流石にてめえには、そんな権限はないだろうが)
スレイは白けた表情でブリジットを見た。
ブリジットはSランク冒険者パーティー『
正直ブリジットは個人としてはSランクの実力はない。『シーフ』としての腕前はBランク認定止まりであり、絶好調の時を参照とした甘い見積もりでもAランクである。彼女の力が足りない為、諦めざるを得なかった財宝はいくつもある。
そして『シーフ』には身のこなしに優れ、接近戦に長けた実力を持つ者も多くいるが、彼女は戦闘がからきしダメだった。
Sランク認定を持つフリーの『シーフ』となると引く手あまたであり、早々見つかるものではなく、機会損失を天秤にかけた妥協といった形で、Bランク認定のブリジットを迎え入れた経緯があるのだが、どうやら彼女にその自覚はないようである。
だが、ブリジットの言う、スレイの役割である『サポーター』というものが
この世界の冒険者パーティーにはセオリーが存在した。
まず基本として冒険者パーティーは5名もしくは6名編成がスタンダードという事だった。
なぜなら5名以上を満たしていなければ、半数以上の依頼が引き受けられないからである。
そして、その役割も明確に決まっている事が多かった。
物理攻撃に長けた『アタッカー』
守備に特化し、攻撃の受け手となる『ディフェンダー』
主に回復魔法に秀でた『ヒーラー』
主に攻撃魔法に秀でた『マギ』
罠察知や解除や設置、鍵開けを得意とする『シーフ』
パーティーごとに個性はあるものの、上記の五つのタイプは必須とされ、実に八割近くの冒険者パーティーが、上記の五タイプを最低1人は満たす編成となっている。
スレイが所属している6名編成のSランクパーティー『
『アタッカー』リーダーを務める勇者ローランド。
『ディフェンダー』聖騎士レイモンド。
『ヒーラー』聖女エリア。
『マギ』賢者ヘンリー。
『シーフ』盗賊ブリジット。
そして6名編成となる場合は、上記の役割からもう一枚補強するパターンが多い。
突破力を増やしたい場合は『アタッカー』か『マギ』を二枚。
守りの硬いパーティーにする場合、『ディフェンダー』か『ヒーラー』を二枚といった具合になる。
戦闘をこなせるタイプの『シーフ』であれば、こちらを二枚という手もあるだろう。
職業の人口比やバランスを考慮すると『アタッカー』二枚編成がおそらくは一番多い。
いっぽう上記に該当しない役割も存在した。
動物や魔獣、幻獣といった存在を使役する事が出来る
召喚獣を呼び出し戦わせる事が出来る
楽器を演奏し呪歌によって仲間にバフをかけたり、敵にデバフをかける
そういった五タイプに該当しない特殊な存在は大雑把に『サポーター』と呼ばれ、スレイもそこに含まれていた。
ただ、上記の五つのタイプが必須とされる以上、『サポーター』は大半において
『サポーター』
年齢二五歳。
若干癖のある濃いブラウンの髪に、同じ色の瞳の目つきは鋭さがあった。顔立ちは気品があるとは言えなかったが、その鋭さのある雰囲気は見る人によっては好ましいとする者もいるかもしれない。
高い魔力とそれを活かす為の知力を生まれつき備えていたが、辺境生まれの平民の為、本格的な学習機会を得られていない、少し出自の面で残念な青年である。
辺境育ちの為か、言葉遣いが少し荒い。
彼の持つ称号である
スレイは剣技、魔術、使役、変成術の四種の技能がBランク認定と認められている器用な存在だった。
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