規約
「
「こ、これは。嬉しくて」
「好きな人に、好きって言ってもらえて」
「それは……わたしも」「アタシも、よ」
「2人とも、これからも一緒にいてくれる?」
「うん、一緒だよ」「いるわよ。当然でしょ」
「ありがとう……僕、がんばるよ。
「む~。
「アタシだって!
結局そこは平行線だった。
延長戦に突入した。
「改めて、よろしく。
「うん、よろしく。
「よろしく……ただ、その【
「えっ⁉」
確かに、恋人にこそなっていないが両想いの相手を名字で呼ぶのは他人行儀。心の準備ができていなかったので恥ずかしいが、
「そうだね。こ、こ……
「うん……さ、さく……
照れくさそうにそう呼んで、はにかんだ
「むーっ、わたしも!」
「あ、うん! り──」
頬を膨らませた
「わたしは、駄目なの……?」
「違うんだ! ほら、僕にとって【リッカ】は自分の名前、渾名でもあるから。いざ呼ぼうとしたら思いのほか抵抗があって」
たとえ
「……なら、わたしも
「そう、かも」
理屈になっていないと思うが。
なのに不思議と、腑に落ちた。
「それじゃあ……
「うん。リッカくん♡」
そうして今度は
「
「それで、って?」
「アンタの渾名の【リッカ】は名字由来でしょ」
「うん。それでも下の名前みたく思ってるから」
「ふぅん……前から気になってなんだけど【
「ううん、トキワじゃなくて僕が間違えたんだ」
「どういうこと?」
「僕が生まれた5月5日、その年は
「「ふんふん」」
立花と書いて〔リッカ〕と読むこともある。だが
日常会話ゆえの言葉足らず。
「それで僕『自分の名字は〔タチバナ〕と〔リッカ〕のどっちに読んでもいいんだ』って勘違いして。その頃にトキワと出会って『ぼくはリッカ・サクヤ』って自己紹介を」
「「あぁ~」」
「以来トキワからはずっと【リッカ】で、僕もそう呼ばれるのに慣れてたから。間違いに気づいてからも呼ばれかたが変わるのは嫌だなって、そのまま呼んでもらうことにしたんだ」
「「へぇ~っ」」
話を聞いて、
「なにかが少し違えば、リッカくんはわたしと同じ名前になってなかった。なのになった……これは、運命だよ。やっぱりわたしたち、運命の赤い糸で結ばれてたんだね」
「うん、そうだね」
「なワケあるか!」
声を荒げる
「もちろん
「とも、じゃなくて。アタシとだけ!」
「ちがうもん! わたしとだけーっ!」
また3人で意見が割れた。こんなやりとりが、これから定番になるのだろう。前途多難だが、まだ3人で一緒にいられる。
そのことに、
¶
その夜、
今日の顛末を報告した。
常磐
[2人相手にいっぺんに告白して。どちらからも愛想を尽かされはしなかったが、どちらとも恋人にはならず、これまでどおり仲良くする……?]
咲也
[両想いって分かったから、これまで以上かも]
常磐
[それは両方と交際しているのと、どう違う?]
もっともな疑問だった。
もっとも答えは簡単だ。
咲也
[どちらとも〔唇にキス〕以上のことができません]
常磐
[なるほど]
そういうのは恋人になってから! 3人ともそういう貞操観念だったので、そこは合意が得られた。あのあと開かれた、今後の3人の付きあいかたを決める会議で。
それでは
咲也
[ほめて‼]
常磐
[ああ。お前は偉いよ]
咲也
[うっうっ、ありがとう、トキワ]
常磐
[泣くなよ……]
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