終わらない焰の円舞曲

卯月白華

プロローグ

 終わりは、いつも焰――――



 死屍累々とはこのことだろうか……

 裸に剥かれて白濁液と血に染まった下半身に棒を生やしているのは、いつも通っていた…パン屋の元気で笑顔のチャーミングな看板娘のボニー。

 あの首と乳房が切り取られて下半身から白濁液と血が流れ出ているのは、腕の火傷の跡から…女だてらに腕が良かった豪快な鍛冶屋の女将さん。

 腸が滑車に巻き取られて吊るされているのは、神経質だけれど仕事に真摯な粉屋の旦那さんか。

 目が刳り貫かれて耳に鼻、手足も無く木に縫い付けられているのは、やんちゃでいつも私に悪戯ばかりしていた宿屋のモシェさんの末の息子の……


 小さな里の、十をようやく幾らか超える程ではあるけれど、それでもの大切な全てが嬲られて蹂躙され業火に包まれる。


 それを私はどこか当然のように感じながら、下卑た笑みに顔を歪ませた武装している男達が近付いてくるのを視界に収め、諦観と共に脳内を駆け巡る走馬灯諸共目を閉じた。

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