第8話 現状
黒島がオンラインで授業をいくつか受け、昼になる。
黒島が昼の食事をとるために、キッチンでお湯を沸かしているときだった。
ふと、スマホでニュースを確認する。
その時に、あるものが目に入ってきた。
それはアラスカ州の上空で謎の大爆発が起きたことを取り上げているものだ。
『アラスカ州の上空で謎の大爆発、地球外知的生命体由来のものか?』
『日本時間午前5時ごろ、アメリカ合衆国アラスカ州の上空にて謎の大爆発が発生した。当時周辺を飛行していた航空機等はいなかった。アメリカ空軍は、当時大気圏内に侵入していた地球外知的生命体の質量爆弾が爆発したものと見られる。大きな被害はなく、原因は現在のところ不明である。アメリカ空軍と宇宙軍は今後も引き続き警戒を強めている』
このように書かれている。
「これ俺たちのことだよなぁ」
「そーですね。映像とか写真はあんまりないみたいですけど」
そういってレイズがSNS上を見ながら言う。
「またそうやって勝手にツイッチューブ見て……」
「いいじゃないですか、このスマホ半分私の体みたいなものですし」
「そうじゃないでしょう……」
「祐樹さん見てくださいよこれ!ちょうど撃ちぬいた時の写真ですよ!」
「話聞いてます?」
そんな感じで、昼を過ごした。
そのまま夜になって、黒島がゆったりしているときだった。
「祐樹さーん、ちょっと聞いてほしいことがあるんですがぁ」
「……」
「ちょっと、明らかに嫌そうな顔をしないでくださいよ」
「だって、レイズさんからの話ってロクなことないでしょ?」
「そんなことはないですから。ね?」
「まぁ、話だけは聞きましょう」
「実は、先の白の艦艇の襲撃の様子を確認していた所、ある妙なことに気が付いたんですよ」
「妙なこと?」
「はい。白の艦艇って、白の旗艦からの指示を受けて行動しているんですよ。けど、先の襲撃の時は、そうならなかったと言いますか……」
「何か気に食わないことでも?」
「はい。白の艦艇は白の旗艦からの指示をそのまま実行します。そのため、艦艇の並びや戦術に特徴が出るんですよ。しかし先の襲撃は個人がそのままの意思を持って戦闘していたように感じるんです」
「……つまり?」
「艦艇を動かす生体艦長個人の意思が反映しているということです」
「一応考えられることなんですよね?」
「えぇ。ですが、これまでなかった事象です。もしかすると、何か狙いがあるのかもしれないですね」
そういって、レイズが深く考え込む。
「それで、話は以上ですか?」
「あぁ、あともう一つ話を。今後の活動についてです」
「ほう」
「今後の活動をするためには、現状を確認しておいたほうがいいかなと」
「それもそうですね」
「現在私の隷下に存在する艦艇群は2億4000万隻います」
「2億!?めちゃくちゃいますね」
「これでも少ない方なんですよ。白の旗艦なんか、情報開示してないですけど、推定で10億隻あるとかないとか」
「はぁ……」
「いくら紅の艦艇だと言っても、白の旗艦に打ち勝つことは困難であると思います。そこで、しばらくは戦力の増強が優先的になると思います」
「それなら、後方支援担当の黒の旗艦がいるじゃないですか。あの人に頼めば艦を量産してくれるんじゃないですか?」
「実はですね、流浪の民の艦ってこれ以上増えないんですよ」
「そうなんですか?」
「流浪の民の生体艦長、それには生身の人間の体が必要なんです。私にだって生身の体が存在します」
「……いや、少なくとも億単位の人間がいたってことですか?」
「そうですよ」
レイズはケロッと言う。
「まぁ、それはいいとして、現実的なところ、無人化するべきなんじゃないですか?」
「無人化も昔は検討されていました。しかし、侵攻する勢力に通信を妨害する技術を持っているものがいる可能性があるとして実際に製造することはありませんでした」
「今ならいけるんじゃないですか?」
「それもそうですね。分かりました、トランスさんと検討してみます」
「話は以上で?」
「はい。ありがとうございました」
そういって、レイズはスマホの奥の方へ消えていく。
現状、紅の旗艦は黒の旗艦にて修理をしているため、やることがない。
黒島は、そのままベッドの上でうとうとしてしまい、寝てしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます