あなたがくれるもの【一万円札】

 オレンジ色の照明が灯る部屋。

「ちょうだい。もっともっとほしいの」 

 舌っ足らずな口調で強請る私の髪をあやすように撫でる彼。

 黒革の財布から一万円札を数枚取り出して私に渡す。

「ほら。これで好きなものを買いなさい」

「……ありがとう。パパ大好き」  

 私が欲しいのはこれじゃないって知ってるくせに。

 

  

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