第25話 質問攻め
正直なところ、私は彩愛先輩と付き合いたい。
とはいえ現状のままいきなり告白しても、成功しないのは火を見るよりも明らか。
そこで私は、外堀を埋めていくことにした。
「突然ですけど、百合って素敵だと思いませんか?」
学校からの帰り道、周りから人がいなくなったタイミングで質問を投げる。
「ホントに突然ね。まぁ、素敵なんじゃない。あたしにはよく分からないけど」
「彩愛先輩はもし付き合うとしたら、男の子と女の子、どっちがいいですか? あと、年齢層とか」
「付き合う予定はないけど、そうね……好きになったら、年齢や性別なんて気にしないと思うわ」
なるほど、実に有益な情報を得られた。
私が彩愛先輩の恋愛対象になれるかは別として、少なくとも同性であることや年下であることを理由に断られることはなさそうだ。
「いずれ恋愛に興味を持つとして、どんな人を好きになると思いますか? あくまで仮定の話ですから、軽い気持ちで答えてくれていいですよ」
「一緒にいて苦にならない相手かしら」
軽い気持ちでとは言ったものの、わりとすんなり答えを出したことに驚かされる。
果たして、自分がその条件に当てはまるかどうか……。
私は彩愛先輩と過ごす時間を苦に感じたことは一度もない。二人とも無言の状況だろうと、ケンカの最中だろうと、離れたいとは思わなかった。
問題は、彩愛先輩がどう感じているか。できれば同じ気持ちであってほしい。
「どうでもいいけど、今日はやけに質問が多いわね。あんまり質問ばっかりしてると嫌われるから、あたし以外と話す時はちゃんと気を付けなさいよ」
「ご、ごめんなさい、気を付けます」
至極もっともな意見だったので、素直に受け入れ、反省する。
本当は最後に『それじゃあ、私なんてどうですか?』と冗談っぽく訊ねるつもりだったけど、今回は自重しておこう。
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