棗と梓(1)
「さあ!我々の出番だ!」
「リセットっすね」
「でもほとんど梓さんがやってくれて、スッキリしてるよね」
「
「それが一番ですよぉ、そのために私たちがいるのですものぉ」
「梓さん」
みんなが私のもとに。
「あなたが来てくれて本当によかった」
「私が?」
私の空想世界が、あんな巨大な城が存在した事実を今、目の前には何もないこの景色に変えてしまったなんて、どうしたって信じられなかった。
「梓ちゃんの空想はね、実は負の力に対して現実さえも呑み込んでしまう作用があるの。そのことができる人をラブリードリーマーと呼んで、凶悪な社会システムをリセットするためにソーシャルレジスタンスは梓ちゃんみたいな人を探してるの」
みんなはポカンとしてる私を見て、ニコリとその場を去って仕事を始めたみたいだった。
「棗ちゃん、でも私」
「うん、もう少し一緒にやることがありそう」
「一緒に、来てくれるの?」
「言ったでしょ、私も一緒に行きたいって」
「あは、また泣いちゃうよ私」
「よしよし」
棗ちゃんの優しい手がまた私の頭を
この手に触れるためにこれまで諦めずに走ってこられた。
自分を信じて飛べた。
私のやるべきことをあなたたちに教えられた。
「グロッサは、人々を助けるもんね」
「そうなの、ジュジュはグロッサを助けにきたの」
「あは、ありがとう棗ちゃん」
「一緒に飛ぼう、梓ちゃん」
私たちは手をつないだ。
手をつないで走った。
あそこから飛ぶよって、棗ちゃんが私の手を少し引いた。
わかったよって、私が少しだけ強く手を握り返した。
同じ歩幅。
同じリズム。
同じタイミングで。
「せえええええのっ」
ジャンプ!
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