ジュジュとグロッサ(4)
守護神、私を置いていかないでよ。
もう誰かと別れるのは嫌だよ。
『私は召喚されたのだろう』
「してないから!」
『そんな小さなジャンプではダメだ』
「やっぱ嫌い」
『凡人にはそう思えるかも知れぬ』
「どーせ凡人ですよーだ」
『どこへ行くのだ』
『何をするつもりだ』
『飛んでどうする』
『どうしたのだ』
『きっとそうだ』
『私は信じている』
『自分を信じろ』
『惑わされるな』
いつも彼は私を
迷子になりそうな私をいつも
「守護神!!!行かないで!!!」
彼はきっと自分から私の手をすりぬけたのだと思う。
だけど私には彼を
セトニアも、守護神も、私も一緒に。
空の中に落ちる。
「エルクァフゾ」
閃光が走った。
目の前が真っ白になって、ほんの少しの間だけは何も見えなくなった。
でもまさかと思った。
「間に合ったー!!よかったー!!」
そんな。
「棗ちゃん!!!」
落ちる瞬間、私の手首をしっかりとつかんで引き込んだのは棗ちゃんだった。
「梓ちゃん、間に合ってよかった」
私の手を引き寄せて彼女はそのまま私を抱きしめた。
いい匂いがした。
一度は離された手はもう一度つながれた。
「エルクァフゾ、よっと」
えっ?!
「エルクァフゾ、わーっ」
あっ、これって……。
「エルクァフゾーっと」
「エルクァフゾっすよ」
「エルクァフゾでーす」
「エルクァフゾっ」
そしてどうしたことか、次々とこの場にエルクァフゾ像を持った人たちが飛び込んで来た。
棗ちゃんを入れて、7人も。
「セトニアとアヌビセス、キャアアアッチ!!」
私はその場にへたり込んでしまった。守護神とセトニアはその人たちによって落とされずに守られた。
「棗ちゃん、どうして?」
「梓ちゃん、少し座ってて」
「シノブさん、よくキャッチできたな」
「やかましいわ、マコト」
「マコト!」
「やあ、エリス様、じゃなかった梓ちゃん」
今の私にはとりあえずこの状況がまったく理解できなかった。でもこの人たちが棗ちゃんの友達で、飛べる人たちなのは納得だった。
マコトが頭をグリグリされてる相手の女性は、シノブさんという銀色の髪を肩までおろした強そうな人だった。
「ぬあああああんだああああ!!てめえらわあああああ!!」
そうだった、狂ったように叫ぶアイツはもう
「我々は!!ソーシャルレジスタンスだ!!この世界の社会システムをリセットさせてもらう!!」
「ソーシャルレジスタンス……」
私は聞き慣れない言葉に
「あの亀のリーダーさ、めっちゃ怒ってるんじゃね?」
「やだー、モッチくんなだめてきてよー」
「なぜだケイラ、お前が行けばいい」
「お前ら、気を引き締めろ!」
「ウツギさんコワい」
さっき自分たちはソーシャルレジスタンスだとコワイ顔で叫んでた、背の高い栗色の長髪の男性は私たちより少し年上のお兄さん風。いま注意された身軽そうで中身も軽そうな男子に、すごい声のカワイイ女子もみんなそれぞれ手には少し違った神像を持っていた。
「へぇぇぇ、棗さん、この方が?」
「キリノくん、そうだよ私のお姉ちゃん。ねっ梓ちゃん」
「ぐん、うう、うわん。ありがとう棗ちゃん」
「完璧なタイミングだったでしょ?」
「棗ちゃん、どうやって飛んだの?セトニアは取られちゃってたんでしょ?」
「そう思うでしょ?それはね、ずっと前に私がマコトに遺跡への
「そうそう、僕も混乱したよ。でもクヌムを棗さんに届けられてよかった」
「そんな、すごいよこんなこと」
「はい、梓さん。あなたのアヌビセスだ」
キリノくんと呼ばれてた色黒の体育会系男子は、私に守護神をそっと渡してくれた。
「へぇ、もっと仙人みたいな人かと思った」
「なんでだよキリノ、棗さんのお姉さんだぞ」
「だって、ラブリードリーマーってみんな仙人か魔王みたいじゃん」
ん?
「くるぞ!!」
一息つく間もなく
「梓ちゃん、今から私が説明するから一緒に亀の兵隊をやっつけよう!!」
やっつけよう?私が?
「えええっ!!うそでしょおお!!」
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