Day04 琴

「なーなー岸、今日、学校に来る途中でさ……」

 面白いの見つけたんだよ、と声を潜める級友に、やれやれと肩をすくめる。

「なんだ。また肩乗りオウムおばさんにでも遭遇したか」

「あれ以来会ってないんだよなあ~ってそうじゃなくて! あのな、ここんとこ、いつもと違う道を通ってるんだけど」

 先生や親御さんに聞かれたら大目玉じゃないか、それは。

「普通の家の門のところに『おとこ教室』って看板が出ててさ!! すっげえな、なんの教室なんだろうな! 帰りにこっそり覗いてみねえ?」

 マッチョメンになるための教室かな、などと想像力フル回転なところ申し訳ないのだが。

「菊池。それは『お琴教室』だ」

 ひらがなで書かれるとうっかり読み違えるから、できたら漢字で書いてもらいたいところだが。

「ええー! 何だよそれー!」

「マッチョメンになれなくて残念だったな」

「いや、別にマッチョメンになりたいわけじゃないんだけど」

 面白そうな教室だと思ったのになー、と残念がる級友に、ほらとチラシを手渡す。

「来週の日曜日、公民館で小学生向けロボット工作教室があるらしいぞ」

「何それ! 行きたい!」

「親御さんにこれを渡して、申し込んでもらえ。ちなみに俺は申込済みだ」

「よっしゃ! 二人で変形合体ロボ作ろうぜ!」

「無茶を言うな」

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