ことのはの海 令和二年度学祭号

國學院大學児童文学会

「世界のみかた」 -ほしかぜみなみ




ふたりで


ふたりでおやつを食べるなら

スプーンですくってお皿に分ける

一つのアイスを半分ずつ


ふたりで電車に乗るなら

並んだ空席を探して座る

窮屈そうに荷物は膝の上


ふたりで道を歩くなら

食べたいものは話し合い

入りたいお店は見ないふり


ふたりで旅行をするなら

行き先は人気の観光地

温泉つきのきれいなホテル


ふたりで過ごす夜なら

一杯目はとりあえずビール

明日に備えて早めに解散しよう



ふたりならいつでも無難に半分こ

相手を気遣えばできないこともある

そんな気がする


それならひとりで


ひとりでおやつを食べるなら

大好きなバニラをゆっくりと

溶けないように味わうの


ひとりで電車に乗るなら

大きな荷物は隣の席

窓の大きな海を独り占め


ひとりで道を歩くなら

ご飯も忘れてぶらぶらり

地図も見ないで出会う店にふらり


ひとりで旅行をするなら

行き当たりばったり、のんびり旅

たくさん歩いて、たくさん休んで


ひとりで過ごす夜なら

甘いお酒に、好きなおつまみ

ほろ酔い気分で明日を待つ



ひとりだからいつも自由

全部私の思い通り

そんな気がする


ではあなたとふたりなら


あなたとおやつを食べるなら

私はアイスで、あなたはケーキ

半分あげるから、半分ちょうだい


あなたと電車に乗るなら

肩にもたれて、夢うつつ

降りるときには起こしてくれるから


あなたと道を歩くなら

ひっそり裏道を冒険

行ってみたかったけど怖かったの


あなたと旅行をするなら

お城の前で写真を撮り合いっこ

あなたの喜ぶ景色も探してあげる


あなたと過ごす夜なら

今日の疲れも癒されて

もらう言葉は明日へのエネルギー



あなたとふたりだから

見えなかった可能性が見える

できないこともできる気がする

そんな気がする



見方を変えれば世界が変わる

自由も可能性も自分の中に


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