【続編あり】「センパイ、キスしてください!!」
ひよこ🐣
「センパイ、彼氏ですよね?」
「セーンーパァァイッ!」
私はそう叫びながら登校中のセンパイの背中にダイブした。といってもセンパイは背が高いため背中、というよりも腰にダイブしたといった方がしっくりとくる。
「…またあなたですか」
ダイブされて心底ではないにしろ驚かれると思っていたが全く違ったようだ。…少し思っていた反応と違う。
もっと、こう…希望としては「ひぃっ」とか「ふぎゃっ」とか…そういう反応を待っていたのに(といってもセンパイだからきっと驚いても「っ」ぐらいにしかならないんだろうなぁ、と思っていた)。
しかし全く驚かないというのは脅かした側からしたら些か残念なものだ。
「驚かないんですね」
「驚くほどのものでもなかったので」
センパイはそう言ってニコーッと笑って、私はまた歩き出したセンパイの横を歩く。
「今朝は玄関の前で待ち伏せはしなかったのですね」
「今日は少しテイスティングを変えようと思いまして」
「そうでしたか。それで脅かしを?」
「そうです。…まぁ、驚かなかったんですけどね」
「僕はそんなに簡単には驚きませんよ」
「ちぇ…っ」
センパイとコイビトになったから普段は見せない一面を見られるかと思っていた。そのひとつが驚いた一面。それを見るには脅かすのが一番だと思っていたのに残念だ。本当に。いや、ガチで。驚いたセンパイとかレアでしかないでしょ。
………ん?レア?
私はとある事が気になってピタッ、と足を止めた。
私はレアなセンパイが見たい。それこそ今までの関係では見られなかったような、レアなセンパイが、だ。今のコイビトの関係で見られるレアなセンパイ…、すなわち!
「…………センパイ」
「はい」
「センパイのパンツ見せてください!!」
「公衆の面前で堂々とセクハラしないでください」
「セクハラじゃないですよ?! コイビトなら当然でしょう?!」
「あなた、恋人同士ならパンツを見せ合うとでも?」
「だってそうでしょう?! じゃないとセッk───」
そう言いかけて私は口を閉じた。なぜって?
センパイが生ゴミを漁るドブネズミを見るかのような物凄い視線を送っていたからだ。
さすがにコイビトからドブネズミへ一気にランクダウンするのは避けたい。
それにコイビトになって三日。別れるのは嫌だ。絶対に。というか別れたくない。別れるなんて言われたらセンパイの手足をちぎって監禁して私はその手足を食べる事にしよう。うん。そうしよう。
私は心の中でそう決める。
「…コホン。失礼」
少し冷静になって私は仕切り直しとはいかないにしろ、まだ初々しく、そしてコイビトらしい提案した。
「センパイ、手を繋いでください」
「生憎ドブネズミと手は繋がない主義でして」
「………センパイ、彼氏ですよね?」
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