15. 赤魔法開発 #2
「んじゃ、とりあえず上脱げ。んで背中見せろ」
俺はそう言って、ベッドの上で見えないように後ろを向いた。
リーサが立ち上がって、服を脱いでいるのが音でわかってしまう。
やがて、ベッドがぎしりと音を立てて少し傾いたので、リーサが腰掛けたのだろうと判断して、俺は体をリーサに向けた。
「なっ…!?」
首が変な音を立てるのも無視して、俺は全速力で顔を背けた。
見てしまった。曝け出されたリーサの、同年代の少女の、胸を。
心まで若返って思春期のど真ん中に放り込まれた俺にはあまりにも刺激的すぎる。
「その…背中で、我慢しなくていいから」
「は?」
「お、男なら…お、お、おっぱいとか…好き、でしょ…だから…」
「…俺は一言も揉ませろとか言ってないからな?言っておくが、これは赤魔法が使えるようになるため…赤魔法開発に必要だから言ってるんだ。背中を向けろ。普通にベッドに腰掛けるだけでいいから」
「は…はい…」
胸を晒した恥ずかしさか、それとも勘違いをしていた恥ずかしさか、リーサは消え入りそうな声で呟いて、ベッドに腰掛け直した。
「…座った。こっち向いていいよ」
「わかった」
俺は振り向く。
胸ほどではないが、日本で魔法使いルートを一直線に歩んでいた俺に、女の子の背中はなかなか刺激が強い。
「…一応、やり方は知っているが、初めてだからな。死にはしないけど、失敗したらごめん」
そうことわって、リーサの背中にそっと触れる。
ちょうど肩甲骨のあたりを片方ずつ包み込むようにして、イメージを整える。
「リーサ、手は下ろしてくれるか?見るつもりはないから」
リーサは耳まで真っ赤になりながらも、そっと胸を覆った手を下ろした。
さっき見てしまったそれが脳裏に浮かんでくるのを、必死で振り払った。
「そう、手は下ろして。一回落ち着いて、深呼吸して。体内魔素…魔力の流れを整えるんだ」
「魔力の流れなんて、意識したことないからわからないけど…」
「大丈夫、ただ深呼吸するだけでいい」
リーサが深呼吸を済ませたのを確認して、俺は手から魔子を放出し、流れに介入した。
リーサにとっては未知の感覚だろう。びくりと体を震わせた。
「んっ…」
「落ち着いて。少し変な感覚かもしれないけど、慣れて。今は、リーサの体内魔素の流れに介入してる。やってることは昼間手を触れてあいつらをぶっ倒したのと似てる」
「え」
気持ち悪い感覚を覚悟してか、リーサはまた体を震わせた。
「安心して。あれは直接ぶん殴るような乱暴なものだけど、こっちはそっと撫でるようなものだから。その分繊細な操作が要求されるから、あんま動かれると昼間みたいなことになる」
「…気をつける」
「よし。それじゃあ、赤魔法開発といきますか」
俺は少しずつ魔子の量を増やしながら言った。
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