太陽

まる

君の笑顔。

君が好きなバンドのCD,。

君が好きな本。

君が好きなキャラクターのグッズ。

君が好きな場所。

君のもので溢れたこの部屋。


目を覚ますと君が隣に居て、僕は君の頭をそっと撫でる。君が先に起きてる時は

「おはよう。」

って優しく微笑みながら言ってくれる。

ご飯を作る時は、お互いに作る作るって言って結局2人で作ることになる。

「あ〜!けんちゃん!その切り方下手くそだね?ふふふっ。」

「なんだよ〜、咲だってこの切り方下手くそだろ〜??」

「ちょっと失敗したの!あっ…、一緒だね?」

って笑い合って。

「ねぇねぇ!美味しいよ!!」

君の美味しそうな顔を見ているとなんだか僕まで幸せになって、

「美味しいね。」

ってニコニコしてしまう。


君は落ち込んでいる時、1人になろうとする。

「咲。」

そっと抱きしめれば、君は静かに泣き出すんだ。

僕は理由を聞かない。君が泣きながら

「けんちゃん、いつもごめんね…。」

って謝るから

「ううん、大丈夫大丈夫。なんか言われた?」

って抱きしめたまま、そっと頭を撫でる。

「こんなことがあってね…。」

君がスッキリするまで、話を聞いてあげる。君の太陽みたいな笑顔が大好きだから。


喧嘩もたくさんした。

「けんちゃんなんかもう嫌い!」

「嫌いってなんだよ!!僕のせいじゃないだろ!!」

「もういい!!」

喧嘩して君が出ていった後、凄く後悔する。

1人になった部屋で、電話しようか、しない方が良いのか迷う。

でも、心配になって電話をかけると

「…けんちゃん、ごめんなさい。」

「僕の方こそごめん、咲だけが悪いみたいな言い方した。」

「嫌いって言っちゃった…。」

「ううん、大丈夫。ほんとに思ってないことだって分かってるから。……今、どこ?」

「…公園。」

「分かった。」

外は寒いから、君の好きなカフェオレを買って公園に行くと、君が居て。

「さーき。」

振り返った君は、目が赤くなっていた。

「けんちゃん…私っ、私っ…!」

「もういいよ。そんな顔しないで?…寒かっただろ。ほら、カフェオレ、飲む?」

「うん…っ!」

「美味しい?」

「ふふふ、美味しいよ。けんちゃん魔法かけた?いつもより美味しい。」

「あははっ、良かった。実は僕、魔法使いなんだよなぁ〜!」

「えぇ!!」

「嘘だよ、なにその顔!」

「信じちゃったじゃん…。」

「ごめんごめん!」

「も〜……。」

拗ねた顔も可愛いなぁ…。

「なぁなぁ、咲?」

「ん?」

「大好きだよ。」

そう言って、キスをする。

「へへへっ、私も大好きだよ。」

----------------------------------------------------------------------





あの時の笑顔をもう一度、見れたらな。

君のものを捨てることはまだ出来ないけれど。

もう少しだけ、もう少しだけ、君との思い出に浸らせてください。




「じゃあ、咲。行ってきます。」

大好きな笑顔の写真に、そう言ってから僕はドアを開けた。

太陽がキラキラと輝いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

太陽 まる @maru_33726

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ