カゲが照らした道

天野 鰯

プロローグ 昔も今も。

「ピコンッ」

机に置かれたスマートフォンが鳴る。

通知を開くとSNSのメッセージが入っていた。


「カゲちゃん!これ懐かしいやつ!」


送り主はひーちゃんこと岸上 美きしがみひとみ。もうかれこれ15年以上の付き合いになる。

その後、続けざまに送られてきたのは私が卒業したときのインタビュー映像だった。


「もう5年経つけどカゲちゃん全然変わらないよね~」


そうか、もうあれから5年も経つのか。


「あ、そうそう!来週の日曜、一期のメンバーで同窓会するってさ!予定とか大丈夫?」


「うん、大丈夫だよ。」


「そっか!よかった!じゃあ、来週の日曜ね。カゲちゃんとも会えるの楽しみにしてるね!!バイバイ~」


もっとゆっくり話していたかったがひーちゃんは今や売れっ子タレント。

暇な時間などそうそうない。


親友の忙しさに誇らしげに思いつつもどこか寂しさを覚え、スマートフォンをもとの位置に戻す。


「それにしても、あれからそんなに時間が経つのか」

心の声がポツリと零れる。


あの頃のことは今でも、どんな記録媒体よりも鮮明に思い出せる。


とにかく頑張った。何度も泣いて、何度も悩んだ。


だけど、辛いと感じる余地もないほど楽しかった。

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