『アーサー(仮)』の執筆指針
著者:サファイア様
まず物語の構成は以下の作品をお読みいただくとして、
『ハリウッド脚本術『SAVE THE CATの法則』が十倍わかって小説に応用できる副読本』
https://kakuyomu.jp/works/16817330661373814983
ちなみにまだ連載途中ですが、8月22日には記事が出揃います。
『SAVE THE CATの法則』に『アーサー(仮)』を落とし込んでみますね。
第一幕(0%〜20%)
第1ビート〝オープニング・イメージ〟
まず第1ビート〝オープニング・イメージ〟で物語の世界観をしっかりとにおわせてください。
本作は「現代ファンタジー」なのですから、第一話の始まりからしっかりと「現代ファンタジー」だとわかるように書きましょう。これまでのところだと「異世界ファンタジー」でも通用する書き方をされているので、ここで「現代ファンタジー」なのか「異世界ファンタジー」なのかを読み手に迷わせてしまうのは悪手です。
きちんと「東京湾に浮かぶ学園都市」ということを最初に書いてください。現代日本(近未来の日本でも可)としっかり記すのです。
キャラ名が日本名だから「現代ファンタジー」として読んでくれる、という幻想は抱かないようにしましょう。しっかり「日本」の地名とファンタジーを決める「魔法(超能力も可)」を書いて「現代ファンタジー」ですと押し込んでください。
そして第一話では始まってすぐに主人公を出しましょう。できれば相手役も出せるようなら出してください。テレビニュースから名前が流れてきたり、読んでいた新聞や雑誌などで名前を見るだけでもかまいません。読み手の意識に残ってくれれば、物語の推進剤になってくれますよ。
第2ビート〝テーマの提示〟
第2ビート〝テーマの提示〟で物語で主人公が表向きに必要と思っているものを提示します。最終的に間違っていてかまいません。物語の始まりから主人公が求めているものを明示するのです。
『アーサー』の場合、外見が美形に生まれ変わり、高貴な血筋を得ることこそが主人公が求めているものですよね。
それを求めるのが第2ビートです。
第3ビート〝セットアップ〟
第3ビート〝セットアップ〟では、物語の前提を積み上げます。
物語の展開がひっくり返る第二幕に入るまでの、現状の仲間や友達を出すのもここです。もちろん第一話に含めて書いてもかまいません。
ただし、第一話で多くの人物が出てくると、それだけで読み専さんが逃げていくので、主人公と相手役(対になる存在)、親友ひとりの三人くらいまでに絞ったほうが成功しやすくなります。
第二話以降で仲間や友達、ライバルなどを順次紹介していくようにすると、過不足なく物語が進行していきますよ。
第4ビート〝きっかけ〟
第4ビート〝きっかけ〟は、第二幕の反転した世界へと主人公を追い立てる契機となる出来事です。
ここで第一幕の現状で安泰していたいのだけど、状況がそれを許してくれなくなります。
『アーサー』だと醜い外見の第一幕から、美形になってからの物語である第二幕に切り替わるきっかけです。
主人公の前に魔法使いが現れて、「私の提案に従えば、お前をかっこよくしてやろう」と提示するわけですね。
第5ビート〝悩みのとき〟
第5ビート〝悩みのとき〟は『アーサー』だと今の自分を捨てて美形になってもいいのだろうかと悩む状態ですね。
〝きっかけ〟で提案されてなんの考えもなく受け入れるのだけはよくありません。『アーサー』では思い悩むことなく選択していますが、それでは読み手を煽れません。
必ず思い悩んでいる姿を読み手に見せるのです。
第二幕前半(20%〜50%)
第6ビート〝第一ターニング・ポイント〟
第6ビート〝第一ターニング・ポイント〟で、いよいよ主人公は変身を受け入れて、第一幕とは正反対の第二幕の世界へと足を踏み出します。
ここからは、第一幕とはまるで異なる世界に戸惑いながらも進んでいくことになります。
第7ビート〝サブプロット(Bストーリー)〟
第7ビート〝サブプロット(Bストーリー)〟では、ひっくり返った第二幕の世界で主人公を助ける仲間や友達を登場させます。ライバルを登場させてもいいですね。「師匠」キャラも出すならここですね。
これまでの日常を生きていた主人公は、変身して新たな仲間や友達を手に入れるのです。
第8ビート〝お楽しみ〟
第8ビート〝お楽しみ〟は名前のとおりひっくり返った世界を存分に楽しませてください。またはどんどん悪化させていくのですが、『アーサー』の物語は変身してからイケイケモードに突入するので、ここでは「楽しませる」のが最適解です。
第二幕後半(50%〜80%)
第9ビート〝ミッド・ポイント〟
第9ビート〝ミッド・ポイント〟でこれまでのイケイケモードがひとつの頂点を迎えて「偽りの勝利」を得た途端に行き詰まります。
第一幕のキャラクターやストーリーと第二幕のキャラクターやストーリーの交錯が起こり、ます。
そして、これまで〝お楽しみ〟でテンションが上ってきたときがここで終わり、続くビートで下降線をたどります。
第10ビート〝迫り来る悪い奴ら〟
第10ビート〝迫り来る悪い奴ら〟でイケイケだった主人公がどんどん追い詰められていくことになります。形勢が一気に逆転するのです。
ここで悪い奴らが主人公の前に立ちはだかります。
主人公もなんとかしのごうとしますが、じりじりと交代せざるをえないのです。
第11ビート〝すべてを失って〟
第11ビート〝すべてを失って〟で第二幕でイケイケだった主人公はすべてのものから完全に見放されます。
なにをやってもうまくいかず、仲間や友達とも離れ離れになってしまう。
すべてに絶望するような状況に陥ります。
第12ビート〝心の暗闇〟
第12ビート〝心の暗闇〟では現状に打ちのめされた主人公は深く考え直します。心の奥底を見つめ直し、悩みます。
ここで悩んだ結果、次のビートで悩みが晴れます。
第三幕(80%〜100%)
第13ビート〝第二ターニング・ポイント〟
第13ビート〝第二ターニング・ポイント〟でいよいよ悩みの末に悟ったことを使って自分を苦しめていた悪い奴らを叩きのめす策を思いついて決断します。
ここで読み手をぐっと引き込んで、その後第14ビート〝フィナーレ〟で相手役に勝ち、第15ビート〝ファイナル・イメージ〟で勝ったのちの世界を見せて主人公の成長した姿を読み手に示してください。
と、構成面ではこのように『SAVE THE CATの法則』に当てはめるとうまくいきます。
物語の分量が足りないようなら、第二幕の〝お楽しみ〟を増やすとよいですね。
以上で『アーサー』のあらすじは定まったも同然ですね。
いちおう先のURLで示した「副読本」をすべて読んで、各ビートを詳しくチェックすると、自分のものになるはずです。
頑張ってあらすじを組み立ててくださいませ。
では近況ノートへ戻ります。
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