終章
陰陽師の呪縛 〜男を必ず落とす超モテ女の秘密〜
作者 雨 杜和
第三部 現代編「二十一歳、三十三歳」
最終章
終章
https://kakuyomu.jp/works/16816452219750143893/episodes/16817330650129234842
※誤字脱字・構文など
> マロンが骨張った手をわたしの髪をなでる。
⇒「骨張った手で私の髪を」ですね。
>「言えなかったのよ。もし、言葉にできなかったら、辛いから。言えなかった」
⇒「もし、言葉にできなかったら、辛いから。」なら「言葉にしたかった」ように見えますよね。その前後が「言えなかった」ですから、言いたいのか言いたくないのかがわからないですね。
>「言えなかったのよ。もし、言葉として口に出されなかったら、辛いから。言えなかった」
⇒であれば、「名前を教えてもそう呼ばれなかったら辛い」という理由になるのでわかるのですが。
※総評
まずは連載お疲れさまでした。ここまでの努力は必ず今後の糧になりますよ。
第一部は平安時代、女性側から男性にアプローチするなどできない時代に、陰陽師の賀茂光栄へ恋心を抱いた藤原兼家の娘、通称「姫」。光栄の弟で同じく陰陽師の法光を手玉にとり、彼は「姫」の名前を知りたいという怨念にまで達してしまった。
賀茂光栄は怨念と化した弟・法光を退散させましたが、同時に「姫」へ真実の「愛」を見つけ出さなければ天に帰れない呪縛も授けた。
このように見えることは、本意かどうか。もし光栄の意図が別にあったのなら、少し表現を付け加えましょう。
今から手直ししても、だいじょうぶです。
第二部は現代、高校で恋愛下手な下鴨モチと知り合った恋神マロンこと「姫」。大学へともに進み、モチが気を寄せる佐々波光宏との仲を取り持つことで、ひとつの山を見せる。ここはラブコメよりも純粋なコメディに近かったですね。
ただ、第二部がコメディに寄ったことで、第三部の三十三歳編がマロンが「愛」を知った展開を純粋な感情として昇華していますね。
第三部は三十三歳に再び出会ってからのモチとマロンの物語。モチは大人になっていたけど、マロンは見た目が高校生のまま。元夫の佐々波光宏が驚愕の死を迎えたことで、モチと一気にマロンと再び会わなければと焦ります。そうして出会ったマロンへ法光の怨霊が襲ってくる。「逃げよう」というマロンに対して敢然と立ち向かおうとするモチ。ふと陰陽師の使用する九字が思い浮かび、印を結んで怨霊を撃退。
そうしてマロンはモチとともに旅をして、かけがえのない友情を育んでいく。
失いたくないものを手に入れて、それを慈しむ心が芽生えたことで、マロンは天へと還っていった。
この三部構成がとてもよかったと思います。それぞれの時代で「姫」こと「実葛」が生きていた足跡を丁寧にたどっているようでした。
大きな波乱こそありませんでしたが、丁寧で叙情的な文体が作品を強く支えています。
今回のお話では、大きな波乱が起こしづらいので、バランスを考えても第三部に出てきた法光の怨霊との戦いくらいのもので問題ないですね。第一部の終わり際も法光の怨霊との戦いでしたから、うまく対比ができていたようです。第一部は賀茂光栄、第三部はそれを継ぐ下鴨モチ。ふたりに助けられたことで「実葛」の心に愛が蘇ったのでしょう。
その演出も見事でした。
全体の流れもよかったですし、三部それぞれに見せ場を用意していたのもよかったですね。
誤字脱字等もあまりありませんでしたから、文体の確立もうまく進んでいますね。
ここまで書けたらあとは競合次第なのですが、かなり戦えるのではないかと思います。
競合が多くても、必ずしも期間内で完結できないかもしれませんし、カテゴリーエラーを起こしているかもしれません。
また、ざっくりと「ライト文芸」と呼んでいるので、本作のような背筋の凍る緊張と程よい弛緩の演出まで気が回っている作品はまずありません。
女性向けホラー・ミステリーとしての「ライト文芸」ですので、このジャンルに特化して各編集部がチェックしてくれれば、必ず引っかかるはずです。
あとは応募期限の1月末まで、細かな直しを行なって完成度を高めていきましょう。
それぞれのコメントを参考にして、読み手に与えた印象が雨 杜和様が想定していたものかどうか。違っていれば少し言葉を付していきましょう。
この努力が実ることを願っております。
少なくとも、今回「構成」から考えていただいた効果はしっかりと出ています。
最終話に付されたコメントを読んでも、しっかりと物語を受け入れられていると感じますからね。
ではラストスパートでの直しに力を注いでみてください。
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