添削・寸評のまとめ場

カイ.智水

『明智光秀によろしく』第一部第1章第1話

 こちらに添削結果を上げていきます。



第1話 姑と一緒に転移、ありえへんから!

【プロローグ】


 近江、小谷城にて馬上からオババの檄が飛んだ。

⇒これはよくやるパターンですね。

 「檄を飛ばす」は「仲間を募るための書状・檄文を送る」意です。

 最近では「激を飛ばす」「ゲキを飛ばす」などと意図的に表記する方もいらっしゃいますが、いずれも誤りです。そもそも「檄を飛ばす」の使い方が間違っているのですから。

 今回の場合は「激励が飛んだ」と直すべきでしょう。「叱咤激励」に近いニュアンスがありますので。


 どの兵も泥で汚れ日焼けしていた。

⇒「日焼けする」も確かに言葉はあるのですが、基本的に「○○する」は「漢語」か「外来語」でとるべきなんですよね。とくに「お○○する」が謙譲語のパターンなので。

 今回のケースでは「どの兵も泥で汚れ、日に焼けていた。」とすれば和語の動詞が並ぶので「日焼けする」よりも違和感がありません。


その一人である私は手に持つ長い槍を持て余しながら走っている。やけくそで泥と汗と血の戦場を走っていた。

⇒「走っている。」「走っていた。」は動詞が同じなのでできれば回避するべきです。

 ただし、あえて韻を踏んでリズムを出したい、という深い理由があるなら注意だけにとどめます。私なら「駆けている。」「走っていた。」のように動詞を変えて活用でリズムを作ります。



【第1章】

卑しい掘っ立て小屋で目覚めたところからだ。

⇒「掘っ建て小屋」が本来の言葉です。「穴を掘って建てた小屋」ですからね。


 むっちゃ爽快だ。とても気持ちいい目覚めなんだ!

 これまで生きてきて、こんな気持ち良い目覚めは経験したことがなく、その上に体が軽い。

⇒「とても気持ちいい目覚めなんだ!」ですが、ここは「なんて気持ちいい目覚めなんだ!」のほうがわかりやすいかと。

 次の「その上に体が軽い。」は「その上、体が軽い。」にします。私は「その上」はひらがなで「そのうえ体が軽い。」と表記して、補助名刺を名詞の「上」とは区別しています。


その上に、床は硬い木材の板で、それもかなり痛んでいる。

⇒ここも「そのうえ」と表記すれば「そのうえ床は硬い木材の板で」となりスマートです。

 また「痛んでいる。」は「傷んでいる。」ですね。「痛んでいる。」は痛覚を刺激される痛みを指し、「傷んでいる」は十全な物体が傷つく、腐るを指します。


 ポンコツ軽自動車が急に高級車セダンなったみたいに身体の動きがいい。

⇒「高級セダン」ですね。「セダン」は車種なので「車」はとりません。


ひどく汚れた古い着物を着て、そして、怖い顔。

⇒「馬から落ちて落馬した」のパターン「着物を着る」ですね。

 すでに一般化されており、かつ着付けのWebサイトでも「着物を着る」と堂々書かれています。ですが「落馬して落ちた」パターンを回避するなら「着物を羽織る」か「和服を着る/着用する」になります。



 今は過去の投稿を手直しして更新しているので、そのぶん余裕があります。

 またお一方の添削が終わったところなので、次にこちらを添削していくことになりました。

 ちょこちょことではありますが添削を進めて参りますね。



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