魔王討伐if

 君が何を恐れているのか、何に囚われているのかは、言いたくなった時に話してくれればいいから。今はとりあえず念頭に置いてほしい事がある。私は君に危害を一切加えない人間であって、ただ君を特別な女性として愛したいだけの男なんだよ。お願いだ、それだけは知っておいてほしいな。


 魔王の城から助け出した娘に、将軍である男は穏やかに語りかける。シーツを被って震えている娘の言葉は届かない。


 ――私は、あの方の傍に居られて幸せだったのに。

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