202011 ジャパロボ 41

渋谷かな

第1話 ジャパロボ41

「いい? 絶対に勝つわよ!」

「おお!」

「私たちは強い!」

「おお!」

「できる! できる! できる! いくぞ!」

「おお!」

 試合前にエンジンを組む東京都代表チーム。


「zzz。」

 いつでも祐奈は寝ている。

「いいのかしら? 決勝戦も見ないで眠ってて?」

「祐奈教官らしいといえばらしいんだけど。」

「決勝戦は綾幕僚長も来るでしょ。寝てたらシバかれるわよ。」

「その時は覚醒して目覚めるんじゃない。祐奈教官は新人類だから。」

「ワッハッハー!」

 麻衣と久美は談笑する。

「あれ? 入院中の優子じゃない?」

「祐奈教官にスタンバイしておくように言われたんだって。」

「自衛隊って、ブラック企業よね。私も休みたい!」

「私も久美ちゃん。ジャパロボを改造したい!」

「おい!?」

「アハッ!」

 会場には優子も観戦にやって来ていた。


「それでは第5回全国ジャパロボ大会の決勝戦を行います! 関東ブロック代表チームと北海道ブロック代表チームの戦いです! それでは試合を始めてください!」

 ついに決勝戦が始まった。

「いくぞ! みんな!」

「おお!」

 さとみたちがフォーメーションを組み北海道代表のジャパロボに攻撃を仕掛けようとする。

「だ、ダメ!? 怖い!?」

「麻理子さん!?」

 しかし、麻理子のジャパロボは動かない。動かないどころか震えている。

「どうしたんですか? 麻理子さん?」

「あいつから悪意のような、歪んだ人間の憎しみを感じるの!?」

(その通りだ!)

 何者かが麻理子の心にテレパシーを送ってくる。

「なに!? 今の声!?」

 その声はさとみたちにも聞こえた。

「キャアアアアアア!?」

「麻理子さん!?」

 動いていない麻理子のジャパロボが北海道代表のジャパロボの触手に捕らえられる。

「久しぶりだな。麻理子。」

「ま、ま、ま、まさか!? その声は!?」

「そのまさかさ。自分の飼い主の声は忘れていなかったみたいだね。嬉しいよ。」

「大江都知事!?」

 なんと北海道代表のジャパロボのコクピットにいたパイロットは東京都知事の大江百合子だった。

「どうして東京都知事のあなたがジャパロボに乗っているのよ!?」

「私は、このジャパロボ大会で優勝して、自衛隊に奪われた東京都のジャパロボ開発機関やパイロット研究所を返してもらうつもりだ。」

「なんですって!?」

「だが私の圧倒的な強さで考えが変わった。私は東京都知事で甘んじる気はない。このデッカイドウで逆らう者は皆殺しにし、私が大日本帝国の女性初の帝国女王になるのだ! ワッハッハー!」

 恐るべき、大江都知事の野望。

 つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

202011 ジャパロボ 41 渋谷かな @yahoogle

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る