ACTORS

海風

 役者たちの仕事 « work of actors »




学校は劇場だ。与えられた役を背負って、


僕らはいつも誰かのフリをする。


明るい子のフリ、暗い子のフリ、楽しそうなフリ、可哀想なフリ、賢いフリ、バカなフリ、


その時々に合わせたカラフルな感情の仮面を被って。


何も知らないフリをして何も見てないフリをして平然と、誰かの感情に乗っかって笑う。そんな僕は分厚い分厚い白の仮面。


いじめのシナリオに合わせて暴力も暴言も見ないフリ、あいつの涙も見ないフリ、


それでもこの舞台が楽しく終わればそれでいいと思っていた。


だがどうやらこの仮面、僕にはサイズが合わなかったようだ。


どれだけ懸命に演じてもちっとも楽しくない。

舞台の上で、僕の仮面はずれ落ちた。


「いじめのないシナリオで平和な三年間を過ごしたい!」


僕は手に持つ台本を破り捨て、台詞を間違えた。


"いじめられっ子”

これが僕のもらった新たな役のポストだった。

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