第3話

東京で、ホームレスでもするか、腹をくくった私はとりあえず繁華街のベンチに腰掛けたが、ホームレスが眠らないように仕切りがあり、横たわれない。小一時間ほど過ごしたろうか。とある女の子がやってきた。ギターを背負ってアンプを重そうに抱えて、小ステージをつくりだす。そのままマイク無しで女の子はストリートライブをおっぱじめた。有名な曲のカバーを、お世辞にも上手いとは言えないギターテクニックで引き語る。YuIに憧れてるのかな、それともコブクロ?

音楽を生み出す苦しみは長く果てしなく悶々としていてピアノの前に座ったはいいけれど譜面がまるでちんぷんかんぷんな初心者に似ている。

私はそれでもずっときいていた。女の子の真剣な眼差しに感じいったからだ。チップを、ギターケースに投げた。500円。女の子はお礼をいった。そして私の横に腰掛けてきた。おいおい、危機感がたりないよ、襲われるよ。

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