異世界転生したモブが押しキャラと出会った一瞬の話

仲仁へび(旧:離久)

01 ゲームとの出会い



 そのゲームに出会った時の事は、何でもないと思っていた。


 古びた中古ゲーム店。


 学校帰りに、たまたまそういう気分だから立ち寄って、時間をつぶそうと思ったのがきっかけ。


 店内には、ほとんど人がいなくて。


 私はその時、失敗したかな、と思った。


 だって、そういう店に入ると目立っちゃうでしょ?


 私はただの女子高生。


 うぬぼれかもって思うけど、真面目な学生のイメージを固めたような、地味な見た目だったから、そんな中古ゲーム店に入るような人間じゃなかった。


 だから、その時、さっと外に出ようかなって思っていた。


 でも、それでも店内に足を止めていたのは……。


 店の一角。

 人気商品がとてもキラキラしていたから。


 私の知識が古いのかもしれないけど、ゲームっていうと男性がやるイメージだったから。



 驚いた。

 そのパッケージには、品が良いデザインで、キラキラとした柄があって、見目麗しい男性が描かれていたから。


 後で、最近は女性向けのゲームもたくさん出ているんだと知ったけど、その時はまだ知らなかったから。


 手に取った私は、店主に話しかけられた。


 ここで、恥ずかしがってゲームを置いて、店から出るという選択肢があったと思う。


 けれど、私はその店主さんにゲームの事を訪ねていた。


「売れてるんですか?」

「これは、どんなゲームなんですか?」

「女性でも、最近はゲームをするんですか?」


 店主さんはそれらの質問に丁寧に答えてくれた。

 だから私は、これも何かの縁だと思って、そのゲームを買っていくことにしたのだ。


 ハードは、私の一つ上の兄が持っていると思うから、貸してもらう。


 袋に包んでもらって、カバンに入れて店をでる。


 何でもない事なのに、胸がどきどきした。


 それは今までそういった品物を購入した事が無いから、だとも思えるけれど……。


 もしかしたら、そのゲームのパッケージの模様を見た時に、私はきっと運命を感じていたのかもしれない。


 ゲームの主人子であるウォルド様、パッケージに描かれた、りりしいその姿に、ひとめぼれをしていたのだ。


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