繋がり
人々が活動する前の静かな朝が好きだ
人々が活動を終える静かな夜が好きだ
昼間はあまり好きじゃない
声や雑踏があまりにうるさすぎるから
夕方はさみしい感じがする
その切なさがいとおしい
夕食時はあまり好きじゃない
1人だとどうしていいのかわからなくなるから
人気を感じられなくなるころ
私は活動しだす
本当は寝なくちゃいけない時間なのに
私は活動を始める
春のにおいが好きだ
夏の朝の静けさが好きだ
秋の冷たい風が好きだ
冬の凍り付くような空気が好きだ
年の瀬が近づいてくるとなんだか悲しくなってくる
春は私にとって別れを象徴するものだから
別れの季節を思い出し
かつての友人たちに思いをはせる
かつては私になくてはならない繋がりだったが
今となっては過去の出来事
連絡先を消してしまおうかしら
そうすれば少しは未練がなくなるかしら
幼少期の繋がりなんて希薄だ
たぶん向こうも忘れている
私もだんだん記憶が薄れていっている
繋がりを断ってしまった方が
関係をなくしてしまった方が
なかったことにしてしまった方が
何のしがらみにとらわれることなく
気軽に生きていけるのかな
自分がなかったことにされるのが悲しい
自分を過去の人物にされるのが悲しい
自分の存在を忘れられるのが悲しい
自分も忘れていくのが悲しい
自分に関係のないことだと割り切れてしまえるのが悲しい
相手から悲しみをもらわないために私は人を切り捨てる
自分が捨てられないように
すでに忘れられた人間を思い出させないように
自分が悲しまないように
こうして今日も私は保身に走る
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます