理由

私が本を好きになった理由

きっとそれは現実逃避するため

社会不適合者である私を忘れるため

小説であれば私は誰ともかかわることなく人の生に触れることができるから


私がいつもイヤホンをしている理由

きっとそれは現実逃避するため

欠けられる言葉の重みを軽減するため

クッションがないと私の心がつぶれてしまうから

死んでしまうから

直接届く言葉は強すぎるから


たまに人の声すら怖くなる時がある

そんな時はキカイの声を聴く

耳が潰れるほどの大きな音で


たまに言葉が怖くなる

そんな時には楽器の音を聞く

ピアノとかヴァイオリンとか、チェロとか


それでもやっぱり私は言葉によって救われる

どんなに怖いことがあっても

つらいことがあっても

言葉が私を生かしてくれる

私が生きる意味を

価値を

理由を教えてくれる

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