パールヴァティさん、大いに喜ぶ


 何回目かの魔女っ娘広場の時、お客様がやってきました。

 アプサラス・ハレムを預かるパールヴァティさんです。

 このころには、ラクシュミー・ハレムも預かり、実質的には惑星アールヴヘイムンにおける主席女官長です。


「魔女っ娘広場って評判がいいみたいね、フロッグの観光名所の一つになっているとか聞きました」

 どうやら視察に訪れたようですね。


「にぎわっているようですが、『迎賓館ワンプレート』ってのを私にも一つ、下さいな♪」

「ではこちらでダーツをお願いします」

 タラさんが、ダーツの矢を渡しますと、

「あの的の真ん中が無料なの?」

「はい、ボードに二重の円がありますので、内側の円にはいれば無料、外側の円に入れば半額、外れれば十円いただきます」


 どうやら、好評なので半額なんてものができています。

 で、パールヴァティさんが行うと、半額の五円……

「当たったわ!ねえ、当たったのよ!」

「おめでとうございます、半額です」


 えらく喜ぶパールヴァティさん。

 『乾パン』五枚と『ミートメンチ』と『ラタトゥイユ』のワンプレートをかかえ、美味しそうに食べています。


「いつも食べているけど、青空の下でいただくと美味しいわね♪」

「そういえば、このお皿を抱えている子供さんが一杯ね」

「十円ですから、子供のお小遣いでも手が届きます、それに、魔女っ娘広場の主催者が、孤児院などに十円の金券を配っているようですから」


「孤児院に十円の金券?」

「この金券を持ってきて、ダーツにチャレンジしたら、タダの場所に当たったら三セット分、半額の場所なら二セット分、渡しています」


「嬉しそうに子供さんが食べるのは、喜ばしいことですね」

 事実、子供たちの歓声が魔女っ娘広場を支えているようです。


「子供さんたちを連れて、大人たちがやってくる」

「お店の前にも人だかりができ、物が売れ、お店がさらに出店され、人があつまる」

「そして明るい子供たちの笑い声に大人たちはいやされる」

「魔女っ娘広場はそうして大きくなってきたようです」


「それにいつのまにか、執政官府に対して親近感を持つ方々が増えてきて、いまではフロッグの町で執政官府の悪口は聞かなくなりました」


「そうなのよね、アールヴヘイムンの旧十四王国内でも、徐々に反抗的な所が、なくなってきていると報告が来ているの、その中心がフロッグで、クル王国では執政官府の仕事に対するサボタージュなども聞かなくなったわ」


「スジャータ執政官もお喜びで、アールヴヘイムンの反抗的な所が減少していると、ネットワーク審議会への報告書に書かれていたわ」


 こんな話をしていると、

「姉魔女さん!この綺麗な方は新しい魔女さんなの?」

「この方は、サムラート様にお仕えする偉い方なのよ」

「じゃあね、サムラート様に私が感謝しているとお伝えしてね♪『迎賓館ワンプレート』ありがとうって♪」


「ぼくも感謝しているとお伝えして!」

「私も!」


 子供たちが元気よく、このようなことを言っています。


「わかったわ、きっとサムラート様にお伝えするわ!」

パールヴァティさんが子供たちに取り囲まれながら、このような会話をしている横では、

 

「妹魔女さん、これを食べてくれ」

 ルッコラなんてもらっています。

「儂はこれじゃ!」

 ブロッコリーをいただいたりしています。

「ありがとう!」

 季節は秋、高原都市の野菜は収穫期のようです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る