サービス・ランチ・セットを持って


 今日は週の中日、学校は『半ドン』です。

 

 『半ドン』のこの日は、本日のホームルームもなし、昼食は寮にもどり、簡単な食事となります。

 なんでも、執政官府の世界、レイルロードのステーションに必ずある、『コッペハウス』のサービス・ランチ・セットとなります。


 『コッペハウス』のパン小型全自動製造装置は大変優秀な機械で、レイルロードのステーション以外にも、各地の執政官府や管理官府に設置されており、ミリタリーの戦闘艦艇にも必ずといってよいほど搭載されてあります。


 サービス・ランチ・セットとは、『コッペハウス』のモーニング・ランチ・セットを少しばかり増量したもので、支給される執政官府の世界のお金の単位で、百五十円で販売されているものです。

 もっとも女官であるジャーリアは無料なのですよ♪


 『コッペハウス』のモーニング・ランチ・セットは次のメニューとなっています。


 コッペパンとコーヒー、マーガリン付き

 ミートメンチ・ミニカップ

 ラタトゥイユ・ミニカップ

 乾パン五枚とデザートスプレッド一種

 

 これを基本のコッペパンとコーヒー、マーガリン付き五十円を二セットにして、ミートメンチ・コッペパンとラタトゥイユ・コッペパン、ラージサイズのコーヒー、乾パン五枚とデザートスプレッド一種、となるわけです。


 まあ、十歳から十四歳ぐらいの女子児童ですから、量的には十分のようです。


「ねえ、この後予定あるの?」

 いまでは仲良くなったアッサカ王族のソミーと、マーヒシマティー貴族のウルミラと、仲良く食事をしていると、ソミーが聞いてきました。


「私はないわ、ラーニーはどうなの?」

「私もないわ」


「じゃあ、この後、カウラパパを上から見に行かない?私、カウラパパは下からしか見たことがないの」


 フロッグという町はクル王国にあり、カウラパパ観光の町として有名です。

 カウラパパというのは、クリス山という六千メートルはあろうかという死火山の、片側の山麓が崩壊してできた崖のことで、三千メートルの崖のことです。

 クル王国の副都パータリプトラはクリス山の山麓にあり、カウラパパの上から眺めると、眼下にパータリプトラが見えるのです。


「そういえば、私も見たことがないわ……ここに来るために、あの登山鉄道には乗ったけど、その時、カウラパパを見上げただけよね……」


「でも、いまから行って大丈夫かしら、門限は五時半ですけど……」

「今はちょうど十二時、カウラパパまで歩いていけば、ここから三十分ほどと聞いているわ」


「このままランチをもって歩いていき、崖の上から眺めながらランチで一時間、カウラパパから学校まで歩いて三十分、午後の二時には帰れる計算よ」

「それにフロッグの町は執政官府のゲストハウスがあるので、治安はよいと聞いているわ♪」


 そう、このフロッグには執政官府の迎賓館があり、その関係上、警備は厳重、治安はかなりよいのです。

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