姫神の女たちⅢ 誘惑のジャーリア 【ノーマル版】

ミスター愛妻

姫神の女たちⅢ 誘惑のジャーリア

第一章 アニラの物語 戦う女

婦人陸上戦闘団


 婦人陸上戦闘団の准将アニラはパータリプトラでの決戦前夜、ヴィーナスに抱かれて寵妃になった。

 出陣の祝いにあるものを頂いた、そしてアニラは戦いに望む……

 敵の砲兵兵力は味方の空爆で壊滅、楽勝のはずだったが……最後の最後で山岳戦に引きずり込まれた。


     * * * * *


 今は惑星アールヴヘイムンの執政官府直轄領と呼ばれる、ガンダーラ諸島のチャルーサダでアニラは生まれ育った。


 その地はカンボージャ王国とアールヴヘイムンの海洋支配を争った海洋王国、栄光のガンダーラ王国の国土。

 繁栄を謳歌していた王都チャルーサダの貴族の娘として何不自由のない少女時代であった。

 『虫』の侵略を受ける前の話である。


 六歳の時、突如として『虫』がやってきた、そして栄光のガンダーラ王国海軍は壊滅し、国土は蹂躙され、男は老いも若きも処分され、残った女は『苦難の日』と呼ばれる、地獄の一日を必死に乗り越えなければならなくなった。


 年に一日、十万の女が『食料』として狩られる『苦難の日』、幼いアニラはそれを十回乗り越えてきた。

 十回目の『苦難の日』を乗り越え、十六になったアニラは『子孫の日』を迎える事となり、授産施設で受胎を指導者より命じられた……

 

 その時『ネットワーク』がやってきて、アニラたちカンボージャ王国の生き残りの女たちは解放されたのだ。

 

 さらに十年、アニラは執政官府成立と同時に設立された、執政官府直轄の軍、『婦人戦闘団』に志願して入営、生え抜きの軍人として昇進を重ねていた。

 去年、幹部士官課程を最優秀で終了、大佐のまま代将――本来、代将とは海軍の階級でイギリス陸軍では上級大佐らしい、代将と訳する方もいるらしい、ウィキペディアより――として婦人戦闘団の司令官に就任、執政官から指揮権の委任を受けたのである。

 

 戦闘団は二個師団八個連隊編成、機械化兵団を目指し、膨大な兵器を執政官府より受領、アニラは装備に合う戦術と運用、後方の兵站などを他の幹部とともに演習に明け暮れていたのです。

 

 アールヴヘイムンにも再びきな臭い雰囲気が漂い始めたころ、婦人海上戦闘団が設立され、今までの婦人戦闘団は婦人陸上戦闘団と名を変え、司令官のアニラは准将に昇格、執政官府は本格的に軍拡を始めたのです。


「軍の編成を変更する、膨大な新兵器が支給されることになった、海上戦闘団も大拡張されるが、我々も完全機械化兵団となる」


 アールヴヘイムンはミニ大陸が散在する海洋惑星、重量のある陸戦兵器はありません。

 婦人陸上戦闘団も現地軍ですから、執政官府の最先端兵器は支給されませんが、それでも海上戦闘団と同程度の新型陸戦兵器が支給されました。


 とうとうマガダ王国海軍と、執政官府義勇艦隊所属の艦船が戦闘状態に突入、マガダ王国は公然と執政官府と敵対をはじめます。


 東方諸王国間でアールヴヘイムン条約が締結され、アールヴヘイムン王国連合と呼ばれる勢力が成立、いよいよマハラバード執政官府は開戦の覚悟を固め、挑発という謀略戦を始めたのです。

 

 幾度かの交渉を執政官府は巧妙にしかけます。

 少しずつ譲歩をみせると、様子見していた西方王国が条約に加盟、アールヴヘイムン条約に十四王国がそろい、そして執政官府に宣戦を布告してきたのです。

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