化粧の者

「この人美人だね〜」

 テレビに出てくる綺麗な女性に反応するのは私です。私はとにかく素敵な女性が好き! 羽生君は別として、目が行くのは女優さんの方なんです。

「花香は外見ばっかりやな〜」

「だって、テレビでは外見しかわからんやん。あなたは顔見ないの?」

「見ない。ていうか興味ない」

 彼は女に興味を示さないんですね。不思議な人です。飲み会の二次会で行くようなところはますます嫌なようで。

「話が合わんし、面白くない。だから黙って飲んでる」

 様子は目に浮かびます。

 なのに。

「花香、今日、眉かいてるやろ?」

「何で分かるの?」

「分かるから」

 私は学生の頃は眉が薄いのがコンプレックスでしたが、なぜか最近はそれなりに眉があります。なので整えるぐらいで、描くとしてもほんの少し。もともと化粧が下手な私。仕事に行く時もファンデーションかお粉と眉ぐらい。今はマスクがあるから口紅もしないです。

なのに、

「今日、顔になんか塗ってる。白い」

「そんな白くないよ?」

「化粧の者だ」

「何それ?」

 めざとい彼。彼は私がお化粧するのが嫌いなんです。

「必要ないじゃん。身体に悪そうだし」

 確かに肌は化粧のせいで荒れることあります。でも、必要。さすがにこの年ですっぴんで会社に行く自信はないです。

「しなくて良いのに」

 まだ言うか〜!

 彼は顔に興味がない。なのになぜこんなにもめざといのでしょう。本当に不思議です。

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