え? 土下座?
今年彼と一番激しい言い合いをしたのは政府からの給付金を彼が受け取らないと言った時だろう。話し合い、彼の考えを聞いて、彼は絶対曲げないだろうなと悟ったけれど、私はつい、
「家計に入るお金だと思ってたからさ。だからそこは謝って欲しかった」
と言った。
「いや、家計にというより、俺がもらうお金やろ。だからもらわんでも謝る必要性がない」
その言葉がなんか悲しかったのを覚えている。
でも、彼のもらわない理由は、お金は自分で稼ぐもので、政府のお金は国民のもの。だから俺がもらう必要ない、と言う信念からだ。それは尊いとは思う。
今回はそのことを話したいのではない。その会話を彼がどう解釈したかについて書いている。どうやら、彼は「謝る」とは「土下座する」と解釈していたらしい。
「花香には10万の件で土下座しろと言われ……」
一度聞いた時は、冗談で言っていると思った。ところが何度かその言葉が出てきた。
それは大きな勘違いでは?
「私、土下座しろなんて言ってないけど?」
「だって謝って欲しいって言ったじゃん」
「一言ごめんって言われたかっただけだよ?」
「そうなん? 俺は土下座しろって言われてると思った」
「……。私があなたにそんなことさせると思うの? 私は悲しいよ」
今は誤解も解けて笑い話だけれど、彼の頭の中は常人とはちょっと違うと思うことがよくある。極端とも言うべきか。もしかしたらそう言うところが義両親には理解できないのかもしれないな。
結婚して15年。長く二人でいるけれど、それでも誤解することはまだある。まだまだ相互理解を深めたいと思っている。
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