疲労の限界

彼は泣き言を言わないし、きつくてもとにかく頑張ってしまうから、そばにいる私はとても心配だ。

「心配しても何もならない。心配するぐらいなら、できることをしてくれ」

男性の思考回路だ。共感よりも具体案。私は私なりにできることをした。けれど心配しなくなるというのはどうしても無理。ただ、あまり口にしないようにした。

どう考えても働きすぎで、「喉が痛い」とも言い出した彼。彼の疲れはピークに。そして私の心配もピークに。

次の日彼は昼に帰ってきた。

疲労のために風邪をひいたのだ。

いつもこだわりのない彼だが、以前書いたように風邪を引くと「これをする」というのが決まっていて、汗出しをしてりんごとヨーグルトを食べて、と自分で風邪を治そうと必死だ。私は彼に言われるままに額の冷やしたタオルを変えたり、食べたがるものをたべさせたり、着替えを揃えたり、とお世話をする。彼の熱は38度。汗出しで下がってその体温だからもっとあったのかも。

風邪にいいハーブティーをせっせと飲ませて、とにかく寝てもらう。寝ながらも苦しそうな彼に心が痛む。いびきが途絶えて、無呼吸になっている時は軽くトントンと叩いて息を吹き返させる。それくらいしかできないけど。

流石にきつかったのか、珍しく薬を飲むと言い出したので、総合風邪薬と体力回復の漢方を飲ませた。

次の日まで会社を休んで汗出しをしていた彼。少し楽になったようで私もほっとした。


いっぱい汗をかいたのでシャワーを浴びた彼。でも、彼はいつも髪を乾かさない。私は風邪をぶり返したら大変だと、無理やりドライヤーで彼の髪を乾かした。大きな犬のような彼がなんだか可愛い。大人しく乾かされて、再び眠ってしまった彼。

まだ声はガラガラだし、もう1日くらい休ませてあげたいけど、仕事が終わらないからと次の日会社に行った。

少しは疲労も回復できたならいいけど……。

さてさて。彼の風邪をもらってたら私ももう少ししたらダウンかな。

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