続筋トレ
彼の筋トレは二日に一度のペースで続いている。
私は相変わらず数を数える係。
だが、最近の彼は筋トレよりも私を笑わせるのに力を使っている。
「ほら、上体を起こしながら息を吐くんだよ?」
私の言葉に彼は、
「オエッ」
と言いながら上半身を起こす。
「その吐くじゃないよ!」
私は笑いながら彼に言う。
すると今度は、
「ヒェー」
だとか、
「あはん」
だとか、もう、めちゃくちゃな声を出しながら上体を起こす。
「もう、ふつうに息を吐いてよ! 筋トレにならないよ?」
私は言って彼のお腹をおす。
「お腹に意識を集中させてね?」
「ふー」
お、今度は普通の息だと思ったら、なんなの、その手は? 彼はデコに両手を合わせて拝むように上体を上げる。
「なんなの?それ? 誰かに祈ってるの?」
「いや、これが最新の腹筋の形らしい」
「絶対嘘! もう~真面目にやんないと数増やすよ?」
「いや、俺まじめにやってるって!」
「どこが?」
なんだかおかしくなって私たちは笑ってしまった。
「もう~、こんな腹筋する人初めて見たよ」
「いや、俺真面目に腹筋やってるって」
私たちはあーだこーだ言いながら、腹筋を続ける。
うーん。これは細マッチョには程遠そうだ。
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