クリスマスじゃないクリスマス?!

クリスマスイヴは私はオルガン弾きで忙しく、彼はこれまた仕事で、お互い日付が変わる頃に帰宅。

「メリークリスマス!」

と帰宅してきた彼に言うと、

「クリスマスどころじゃないよ」

と疲れた様子。

ケーキもチキンもなし。

翌日は平日だったからもちろん彼は仕事。私はこの日もミサのオルガンだった。

慌ただしく、そしてちょっと寂しいクリスマスになった。


その二日後。

彼の仕事が定時で終わったので外食をした。

帰り道。

「今年はクリスマスにケーキも食べなかったね。今から買いに行かない?」

と言う私に、

「今から? 俺は仕事で疲れてるんだから、花香が自分で買ってきたら良かったのに。それに、花香、太るでしょ?」

と返した彼。

「確かに、私が買ってくれば良かったね」

私はちょっと悲しくなって、下を向いていた。ふと気がつくと、アパートの前の道を通り過ぎている。

「どこ行くの?」

「ん? 仕方ないからケーキ屋さんに行ってるんだよ」

「やった!」

前から食べてみたかったケーキ屋さんに到着!

閉店五分前でケーキはほとんど残っていない。でも、わがままは言いません。残り物には福があると言うではないですか。

ちょうど二つずつ残っていたクリームブリュレとチョコレートムースを購入して、アパートに帰る。私は鼻歌を歌って上機嫌。帰宅後早速食べた。

「花香、美味しい?」

「うん!」

「俺は甘いものはそこまで好きじゃないから、あんまり分からないけど、花香が美味しいなら良かったね」

私もケーキ通ではないけれど、彼の気持ちが嬉しくて、この日食べたケーキはとても美味しかった。


ちょっと遅いけれどハッピークリスマス!

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