仕事が終わらないよ

仕事が終わらない彼。昨日は、私がいた1時間と、夜中1時間の合計2時間しか寝てないらしい。彼の身体が心配でならない。

今日はシチューを作っていたけど、「帰れないから届けに来てくれると嬉しい」と言われ、圧力鍋をバスタオルでくるんで、ご飯を弁当箱に詰めて届けに行った。

ご飯をまともに食べてない、とおかわりをして美味しそうに食べる彼。私に出来ることはこんなことぐらい。

「今日中に終わらせないと」

欠伸を何度もしながらパソコンに向かう彼が痛々しい。彼は寝てからストレスを解消するタイプで、毎日睡眠時間を長めにとる方。だから、寝られないというのはとてもきついはず。

「花香がいてくれたら気がまぎれるけど、でも、早く帰って寝てていいから」

彼の言葉に2時間ほど会社に居て、また山道を帰ってきた。帰り道は不安になる。山奥の会社に一人残っている彼。睡眠不足なことを考えると、一人にしてよかったのかなと。途中で一人で倒れてたらどうしよう。もう少しいてあげれたんじゃないかなと。

暗い山道は運転もし辛く、同じような景色に気も滅入る。

ただ、運転をしていると思う。運転できるようになっててよかったと。ずっとペーパードライバーだった私。でもこちらに引っ越してから、車がないと不便なのでペーパードライバー講習を受けて最近ようやく彼の会社に行けるようになった。こんなことで役に立つならば、私は何度でも彼のために車を走らせるよ。

どうか早く仕事が終わって、今日こそはお風呂に入ってベッドで寝て欲しい。きっと彼もそれを一番に願ってるはず。

無事に帰ってきてね。


追記


彼から「今日も帰れない」と連絡があった。

彼の身体が心配だ。

私は今日も冷たいベッドで眠る。

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