第七章『虹の竜姫』

第一話『虹の竜姫』

「まさか」


 その状況を近くで垣間見たゴールドは、文字通りのまさかの事態に——————

 

「そう来なくてはな!」


 期待していた。

 強敵との戦い。


 それこそが、今のゴールドが求める宝である。


 だからこそ、虹の竜王の周りに。

 凶悪さを感じる虹のオーラが、纏わりつこうが構わなかった。


 その虹のオーラが、段々と収束し、虹の竜王自身も呑み込まれようとも構わなかった。


 「どんどん虹が収束して、小さくなっていく? これは」


 そんなゴールドの呟きに、答えるかのように答えが出た。


 「そうか、そう来るか。確かにボスはそう来る」


 うん、うんと頷きながら、ゴールドは目の前の存在に満足したようである。


 「復活と変身は、お約束だ」


 目の前の存在。

 虹の竜王と呼ばれた存在は、ゴールドの言う通りに復活と変身を行った。


 「しかし、随分とお洒落になったなお嬢さん」


 そう、目に映るのは、可憐な華だった。

 美しい虹色に輝くドレス。

 童話の中でも、そうない程の宝飾品と共に着飾った姫。


 しかし、その存在が、可憐なだけの華ではない証拠を、文字通り握っていた。


 それも両手に。


 その証拠。


 ――神の夜の天使剣ソード・オブ・レリエル

 ――神の友人の天使剣ソード・オブ・ラグエル 


 二振りの神話級武装ミソロジーウエポン


 ――ピースメーカー王国から鹵獲した天使剣。


 それが、両手に握られていた。  

 否、装備していた。 


 モンスターであるドラゴンロードがである。

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