第四話『エリート討伐者達は、黄金の騎士の噂をする』

 「――ふう。危なげなく処理出来たな」 


 ファイヤードラゴン達を退けた討伐者達は、各々緊張を解かしながら小休止に入った。


 「そりゃあ、ピースメーカー王国でも『20チーム』しかないデーモンキラー級討伐者の10チーム編成のエリート部隊だ。何かある方が不味いだろう」


 「ええ、そうですね。唯でさえ、個人でドラゴンスレイヤー級の力を持った三騎士。その内お二人は、殉死しているのですから」


 神官の少女が、王国の戦力減少を嘆いた。


 「まあな。嬢ちゃんの言う通り戦力不足だな。元々王国の討伐者の中にドラゴンスレイヤー級のチームは一つも無いのも痛いな……」


 「あれ? 確か新しくドラゴンスレイヤー級の討伐者が出ったって聞いたが?」


 「なに? 本当か? 何人チームだ?」


 「いや、聞いたのは一人だな」


 「一人? まさか個人で戦力値400オーバーの評価を受けたのか? まるで三騎士と同じじゃないか。誰だ?」


 「あ! その御方知っています! 『黄金の騎士様』ですよね!」


 「あ、ああ。そう、そう。黄金の騎士だ」


 神官少女の勢いに押されて少々言いよどむ討伐者の男。


 「なんだ嬢ちゃん意外とミーハーなのな」


 黙って聞いていたもう一人の討伐者が揶揄する。


 「だって凄いのですよ! 黄金の騎士様は、御一人でキングクリムゾンドラゴン、サンダードラゴン十匹、グリーンワイバーン25匹を瞬く間に討伐したって!」


 「……おいおい。三騎士でも難しんじゃないか? 本当か? 誤報じゃないのか?」


 「その証人が何を隠そう、三騎士の御一人であるレティシア様なのですから間違いないです!」


 「そ、そうか。だったら本当なのだろうな。……しかし、三騎士以外でも個人で戦力値400オーバーのドラゴンスレイヤー級の実力者が現れたか。少しだけ希望はあるのだな」


 彼の話通り、一個人で戦力値(レベル)400を超える実力を持つ存在は、この異世界では早々いない。


 特に劣等種族である人間種は顕著である。

 だからこそ、話に出てきた黄金の騎士が本当に希望になってほしいと討伐者の男は割と本気で願っていた。


 果たしてその願いが叶うのか、答えはどの様なモノであれ直ぐ分かるだろう。

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