第10話『竜と人の格差』

 しかし――


 「……フ。こんなものか。ワイバーンは殺せてもドラゴンは殺せないか」 


 そのドラゴンロードの言葉通りだった。

 砲撃は、虹色の光を放つ鱗に当たっても特にダメージらしいダメージは与えられず無意味な攻撃と化していた。


 「人間の攻撃は見せてもらたゾ。では、ドラゴンの攻撃を見せてやる! AAランク魔法マギア! 竜の雷ドラゴンボルト!」

 

 その攻撃は絶大だった――


 効果範囲絶大。

 威力絶大。

 攻撃速度絶大。


 そんな竜王の口から放たれた雷は、なんの抵抗も無く砦に直撃し、砦の半分以上を消し飛ばした。


 直接の効果範囲外にも衝撃波が発生し、多くの兵士を吹き飛ばした。


 「うああああああああああああ!!」

 「ぎゃあああああああああああああ!!」

 「ひああああああああああああ!」


 まるで木の葉のように鎧を着た人間の兵士が、宙を舞い地面に激突していく。

 多くの人間は、体が変な方向に曲がっており、どう見ても無事ではなかった。


 効果範囲外でもこの惨事である。

 人間相手に対して明らかなオーバーキルである。


 そして、漸く爆発的な衝撃波が収まった頃には、人間達の心は圧し折れていた。


 「あ。あああ」

 「うああああ」

 「えへへえええへえええええ」


 もはや組織的抵抗など不可能な有様である。


 「フむ。やり過ぎたか。人間種がつまらない人形になっちまたな」


 そしてその下手人は、その有様をみて少々落胆しつつもドラゴン軍団の本体に戻ろうと背を向けた――


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