第8話『虹の竜王』


 ――そんな敵対陣営のドラゴン達も遂に動き出そうとしていました。


 「全軍! 準備完了しました竜王ドラゴンロード様!」

  

 「ウむ。よろしい。俺様の戦いはこの時より再び始まるのだ! 竜王国にいる穏健派どもに分からせてやる! 竜は遠慮する必要など無いのだと! そう! 世界を支配することを!」


 部下の竜からの報告を聞き、一際大きな力を持っている、はねっかえりの竜軍団ドラゴンアーミーの首魁である竜王は力強く答えた。


 率いるのは、千に上る竜種たち。


 一体、一体が人間種とは、戦闘力が違う。

 文字通りの超越種の軍団だ。


 その軍団の頂点が竜王ドラゴンロードだ。 

 その竜王と呼ばれる存在は、一言でいえば虹の怪物だった。


 虹。美しい七色の光を体表の鱗から放つ圧倒的な神秘のスケールを持つ竜の中の竜。


 その体躯も当然の如く巨大だ。

 今まで王国民が見てきた竜の中でも、いや比較するのも馬鹿らしいほどの圧倒的な大きさだ。

 100mは軽く超えているだろう。


 そんな文字通りの超越者が、地に這う下等生物を相手にするという。


 なんとういう理不尽だろう。

 戦いになるわけがない。


 しかしその行為を竜は止める気は無いのだろう。

 だからせめて竜にはこう言ってほしい。


 『戦い』などではなく『蹂躙』を始めると。


 「ヨし! 全軍! 人間種の籠る砦に突撃開始せよ!」


 ――これから行われるのは、そういう事なのだから。

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