幕間二『サタンパーティNPCのゴールド様への称賛』


 ――そんなログインできないエルを他所に。


 異世界に転移したサタンパーティのNPC達は活気づいていた。 


 「しかし、流石ゴールド様。今回の異変に対する鮮やかな対処。吾輩は、改めて偉大なる王者を垣間見た」


 そう、感慨深く第五使徒孔明は、サタンパーティの王であるゴールドを称えていた。


 「あら、改めるも何もゴールド様こそが、サタンパーティ72柱の魔王の中でも別格の大魔王様なのですわよ? 当たり前の実力を再評価するなんて不敬ですわ」


 その孔明の称賛の在り方が不服なのか、第二使徒カーミラ・ブラットムーンが綺麗な顔を歪めながら苦言を告げる。


 「まあまあ、第二使徒カーミラ様。第五使徒孔明様は、純粋に我らが偉大なる王、ゴールド様を称えたいだけなのですから大目にみるべきかと存じ上げます」


 そんな二人の使徒を、やんわりと微笑をたたえながら仲裁をするのは、第四使徒セバスチャン。


 「それにゴールド様は、本当に慈悲深く器の大きい御方です。その程度で目くじらを立てるような御方では、ありません」


 「はぁ。分かっていますわ、セバスチャン。ゴールド様は、最後までサタンパーティに残っていただいた唯一無二の御方。偉大なる暁の君……ワタクシがお慕いする唯一の殿方……」


 ウットリと自分の感情にトリップしているようで、カーミラは頬に手を当てながら『ウフフフフ』と顔を赤らめている。


 「……妄言は、死んでから言え愚妹」


 そんなカーミラに向かって、これまた暴言を吐き捨てするのは、姉の第一使徒エリザベート・ブラットムーンだった。

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