高橋くんとひまわりの種、そしてお決まりの美少女

ショクパン

第1話高橋くん

満員電車の中である。「いつもありがとうね僚」おかっぱ頭の小さい女の子は俯いて言う。(今、顔上げたら真っ赤なのがわかっちゃう)と真壁真(まかべまこと)は壁ドンして痴漢から守ってくてる高橋僚のスニーカーを見ていた。頭の上で「気にするな」と低い声がとおる。

声を聞いただけでますます顔が赤くなる。

電車は大きく右カーブしながらやがて南山駅に滑りこみ停車した。

駅の改札を出て、二人は南山高校へと向かう。三月の半ばはもう暖かい。

緩い坂道を登りながら真はもうすぐ春休みだと思うと少し気持ちが揺らぐ、二年生になっても同じクラスになれるかしら。

「うぃーす、おはよう」と後ろから元気な声で呼びかけてきたのはクラスメートの青井留美子(あおいるみこ)

「おう、おはよう」

「おはようルミ」

今日はまとわりつく留美子をチラ見せず歩いてるぞと真は勘づく、そう言えば三月に入ってから何処か僚の様子が変だ、時々思い詰めたり、かと思うと少し嬉しいような顔をしたり。

(これって女子のこと悩んでる)とふと心配がかすめた真の顔色を逃さず「今日はさ、真と二人でお昼するから」とさらりと言う留美子。

「うん」とあっさりと答える僚。


「ありゃ、女だ」昼休みの学食で弁当をひろげながら留美子がしかめっ面をしていた。

しかめっ面をしても可愛い顔になる留美子。

「どうしよう」と顔を伏せる真、心配そうな顔も美少女顔をひきたてる真。

「三月に入ったときは嬉しい顔してたよね」

と真。

「それな、少し日がたったら心配顔になったり、美少女二人組の私たちが絡んでも少し元気ないときあったな、てか真は毎日電車で何か気づかなかったの」少し詰め寄て言う留美子。

「分かんない」

「あの手を使う時が来たか」

「あの手て」

「それは留美子さんの手、真は毎朝壁ドンしてもらって通学してるんだからたまには私もにもその幸せ分けてもらわないと」

「うん、分かったけど情報取れたら教えてよね」


屋上で一人弁当を食べている高橋僚、スマホがピロンと鳴り画面をみる

「僚兄い、今日は早く帰ってきてねカレーよ」ユキからかと顔が少し緩むがすぐに心配顔になる。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る