色水
まる
青い
「ね、どんぐり飴食べたいなぁ…。」
「どんぐり飴かぁ、懐かしいな。じゃあ…1個ずつ買う??」
「あ!これ!好きでしょ?」
「めちゃくちゃ好き!」
「じゃあ、それにしよう!私もそれにする!」
周りは、浴衣を来た人で溢れていた。君の手を握っていないと、君が離れていってしまいそうで。
「………なぁ、手繋ごうよ。」
「…う、うんっ!」
お互いに緊張しながら、この時俺らは初めて手を繋いだ。
あれから、しばらく経った夏の終わり。とぼとぼと1人で歩く。君はもう隣に居ない。
今日の空は、あの時君が選んでくれた…サイダー味のどんぐり飴みたいに青くて。
そんな空は、君と俺の思い出を思い出させるようで、少し切ない。君も、まだこんな気持ちで居るのかな…。忘れているんだろうか。俺も、しばらくすると忘れてしまうかもしれない。
君とはもう前みたいに、戻れないけど。
俺にとって大切な時間だったからまだ忘れたくないんだ。
君との思い出が全部溶けだして、この空みたいに、綺麗な青色の色水になってしまえばいいのに。
色水は飲めないから…。そうすれば忘れないで済むかな…。甘くて、楽しかった君との思い出を。
そう思いながら、ペットボトルの水を飲む。
ペットボトルの水は、空の色が映ったのか少し青い気がした。
色水 まる @maru_33726
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