第27話 アインの気持ち

「おやすみヴィークくん。今日疲れただろうからしっかり寝てね」


「あぁ。アリスもね。おやすみ」


「お休みお兄ちゃん」


「あぁ、お休みアイン。しっかり寝るんだぞ」


 サムたちにに借りている一室。3人は布団を横に並べて今はもう寝るところ。


「お兄ちゃんまだ起きてる……?」


「んっ……起きてるよ。どうした?」


「ちょっと眠れなくて……」


「なら、少しお話しようか。アインが眠るまで。アリスは……もう寝てるね」


 横を確認するとアリスからは規則正しい寝息が聞こえてくる。やっぱり身体をかなり使ったから疲れていたたみたいだ。


 そしてしばらく今日あったことなんかを話していた2人。そのうち風呂でした話になっていった。


「やっぱり私も加護欲しかったな」


「そんなにいいもんじゃないぞ。それにアインをあんな場所に行かせたくはないな」


「そう言う意味じゃなないよ。もし、お兄ちゃんに何かあったときとかに私もお兄ちゃんを守れるくらいの力が欲しいって。約束したでしょ。お互いが守り合うって」


 アインとヴィークがした約束。戦う力がないアインがヴィークを守るために加護の力が欲しいらしい。アインの願いは出来るだけかなえてあげたいと思うヴィークだが、これだけは叶えてあげることはできない。


 ただ、希望をあげることは出来る。


「そっか。アイン嬉しいよ。アインが俺のことそんなに思ってくれて。これは聞いた話だけど、加護は12歳で得られるものだけど20歳くらいで得た人もいるんだって。強く願えば神様は応えてくれるよ」


 これは噓偽りないほんとの話。12歳の一年間で得られなければもう得られないこ言われているが例外もいくつかある。その人たちに共通しているのは「誰かを守りたい」と強く思ったこと。神様はそんな人に応えてくれる。


「だから、アインが大切に思ってる人を今以上に思えばいつか本当に力が欲しくなったときに加護を授かることができるよ」


「お兄ちゃん……分かった! 私、今以上にみんなを大切にする!」


 アインはそう強く宣言した。


「それじゃこうします」


 アインはそう言うとヴィークの布団にごそごそと入りだした。驚いたヴィーク。今の話の中にこんなことをするような内容の話があっただろうか。いや、ない。


「私が一番大切な人はお兄ちゃん。他の人も大切だけど絶対お兄ちゃんが一番だからこうします」


「そっか。ありがとな。俺も一番大切なのかアインだよ。でも、こうやって寝るのは……まあいっか」


 そう言うとすうすうと眠りについたヴィーク。その横でアインがポツリとつぶやいた。


「私が寝るまでお話してくれるって言ったのに。しごとで疲れちゃったのかもしれないし、仕方ないか。でもあれだけアピールしたのに気づかないなんてお兄ちゃん鈍感さんにもほどがあるよ」


 アインはそう言うとヴィークの横で眠りについた。


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