《 神様との異世界生活 》 少年はこの世界を存分に楽しみます!

雪村 不吹

序章

いつもの生活

一度は·····このような事を

思ったことは無いだろうか?


『死んだ後はどうなるのだろう 』と

『何が待っているのだろう』という

そんな不毛な考えを·····

そんな考えによくある答えは

『生まれ変わって新しい人生を過ごす』とか

『天国や地獄に行く』とか·····

まあそんなところだろう?


昔から宗教などで

人々はそう教えられて来たからだ

いや·····『そう伝えられた』·····の方が正しいか


まあいい·····ではそれが·····

まったく別の世界へ誘われるものだとしたら?


『肉体が生物学的な死を迎えた後に

非物質的な中核部に違った形態や

肉体を得て新しい生活を送るという

宗教的な概念』


これはアニメや漫画のお話などで

登場する『転生』のことだ

しかし皆はこう思うだろう·····

転生など所詮『架空上』のもの

『存在するわけがない』·····と





では1つ·····とある話を語るとしようか

僕たちの知らない世界

·····所謂いわゆる異世界でこれから先

近い未来で永遠と語られることになり

君たちの世界では今後も二度と

語られることのない唯一無二のお話を·····




「は〜寒い!」

雪が降る寒い朝

歩道を歩きながら制服のポケットに

手を突っ込んでそう言うのは一人の少年だった


暁零士あかつきれいじ

雪星町ゆきのほしちょうに住んでる高校2年生の17歳

どこにでもいる平凡な男子高校生

学校のみんなかられいって呼ばれてる

成績は中の上 運動は平均·····ととても普通


そんな平凡な生活をしている

零士にも楽しみは少ないがいくつかある

漫画やアニメを見る時と

ネットで何かをしている時

あとは友達と遊んでいる時である

これくらいしか楽しみにしていることが無い

それ以外のことは特に興味はない

彼にとってはそれ以外はどうでもいいのだ

ちなみに彼女いない歴=年齢の童貞である


は〜もう冬か〜·····

リア充ならもっと楽しみが

あったかも知れないけど。

彼女出来たことないしな·····

あれなんか目から汗が……


俺のそんな願いも叶わず17年の月日が過ぎ

季節は冬

文化祭が終わり、俺にはまったく関係の無い

クリスマス目前の寒い冬の朝

この街に降るのは珍しい白い雪が

無数に降り続け、地面には雪が積もり

辺り一面が真っ白になっていた

そしてなにより街が

クリスマスの準備で賑わっていた

俺の冬の楽しみってゲームの周回と

年末年始のガチャぐらいだからな〜·····

·····は〜何してんだろ俺·····


『れーいーじー!』


そんなことを思っていると

俺の知っている声が、後ろから近づいてきた

白い息を切らして走ってきて

俺の横で立ち止まり手を膝に置く

少し経つと大きく体を使い深呼吸をする


『すぅー! はぁー!疲れた〜……

あっ、おはよう 零士』


『翔太おはよ 疲れるなら走ってくんなよ』


こいつは星守翔太ほしもりしょうた

俺の数少ない親友の1人であり

腐れ縁でもある

親友の中でも小学校 中学校 高校

同じ学校に通ったのはこいつだけだ

クラスが違うことはあったけど

今も昔もずっと仲良くしている

休日とかも遊ぶし!

これからも仲良くしたいものだ!


『お前が先に行くからだろ〜!

待っててって言ったのに!』


『悪い悪い 長かったから先行ってた』

ふざけ笑いをしながら言った

『LINEにもそう書いてただろ?』


『いやそうだけどさ〜

友達なら待っててくれよ』

笑いながら頼む翔太


『気が向いたらな』


『ケチッ! てかどうした〜顔色悪いな

お前さては……また徹夜したな?』


ギクッ! な、なぜそれを!


『て、徹夜なんかしてないし〜

朝までゲームしたり

Googleでネットサーフィンして

一人で盛り上がってただけだし〜』


『それを徹夜って言うんだよバーカ!

お前授業中、よく寝てるんだから早く寝ろ!』


背中を勢いよく叩かれる俺


『さ、さーせん つい夢中になっちまって』


(だってめっちゃ面白い動画あったし、

これは見るしかないでしょって思ったし!

これはネット民としての宿命でしょ!うん!)


『今日は早く寝ろよ〜 』


『はいは〜い』


よし……今日もやるか

笑いながら悪い事を考える俺だった


『てか今日寒くね?』


『いやほんとそれな!

こんな雪降ることねえのによ』


そんな話をしている時だった

翔太が大きな声を上げる


『あっ!そうだ今日の二限テストだった!

提出物もあるのに!』


翔太は思い出した テストがあることを

そして提出物があることを

それと同時に俺も提出物を

やってないことを思い出した…オワタ


『俺もやってねえや まあ二限だし

休み時間使ったら間に合うでしょ!たぶん』


『かなー? けど多くなかった? 量』


(え、まじ? まずそれすら知らないんだけど

なんかめっちゃ不安気なってきた

提出間に合うかな?とにかく学校着いたら

早くしないと…)


『おい翔太急ぐぞ!』


俺は走った…が今更ながら気づいた

いつもならまだ良かったかもしれない、が!!今日は積雪もしてる

地面は雪に覆われている……つまり!

ゴン!!!!!!!!!!


『だ、大丈夫か?』


俺は恥ずかしいことに、豪快に滑ったのである




(ん? ここはどこだ? 辺り一面真っ白だけど

てか俺派手に転んだよな?

まさか俺死んじゃったとか!?

まじかよついてない·····

てかこの死に方ダサすぎだろ)

そんなこんな思っていると上から声がした


『やあ!こんにちわ!ここは世界の狭間!

僕の名前は……うーんそうだな〜……

……よし!白でいいや!

僕の名前は白!よろしくね!』


そう言って上から降りてきたのは

白髪碧眼ぎんぱつへきがんのショートヘアーに

白いパーカーを着た中性的な子どもだった

しかもボクっ娘という····

(身長は中学生くらいかな?)


『おい!誰の身長が中学生だ!』


(え、今声に出してた?出てないよね?)


『ん?君誰?世界の狭間ってなに?

俺どうなってるの?』

現状を知るために質問をする零士


『だ・か・ら!

僕の名前は白!君たちの世界で言う神様だよ

この世界の狭間って言うのは

世界と世界を繋ぐ場所…

とでも言ったら分かるかな?

暁零士くん!』


笑いながら答える白と名乗る子ども


『なんで俺の名前を知ってる?

アニメみたいな事話やがって!』


『そりゃ神様だからね!

ちなみに…僕は子どもじゃないよ

こう見えて数千年も生きてるのさ!

そして、君のことならなんでも知ってるよ!

あと混乱してるかも知れないけど

…これは現実だよ

さっき言い忘れてたけど

君の本体は、今意識を失って

少しの間倒れているよ

体はなんともないから安心してね!』


(何言ってんだこの白ってやつ )


『何言ってんのか全くわかんねえ

俺はここにいるじゃないか』


『まあそう考えるのが普通だよね

けれど君は今、本体と魂が分離している

そして君の精神体だけが今ここに来ている

ってことなんだけど……理解出来たかな?

あと言っておくけど

君の考えてることも丸聞こえだからね

変なことは考えないでよ?』


微笑みながら話す白


『心の声聞こえてんのかよ

じゃあ俺はなぜここに呼ばれたんだ?』


『んーなぜ呼ばれたかと言うと、

君に異世界へ行ってもらいたくて

僕が呼んだんだ!直接!

漫画とかでも見たことあるだろ?それさ!』


『なぜ俺なんだ?

他にもいるだろ?行かせるやつぐらい』


(俺が行く理由ないし)


『なぜって言われても…気まぐれかな?

強いて言うなら君には何かとてつもなく

魅力を感じるから……かな?』


(俺のどこに魅力を感じてるんだか……

あと疑問形なら言わない!

なんか魅力がないって言われてるみたいで

ものすごーく悲しくなるから!)


『それだけ?』


『それだけ』


目を逸らしながら答える白

(なんか怪しくない?この子

というか え?それだけなの?

なんか勇者みたいな素質が

あるとかじゃなくて?)


『まあとにかく来て欲しいんだけど、

良いかな?暁零士くん?

異世界でスローライフを

してくれるだけで良いんだけど』


(んースローライフか〜)


『別に勇者にもなれるけど

君的にはこっちの方がいいでしょ?』


(やっぱり怪しい…まあひとつ言えることは)


『なんかお前!

全部見透かされてるみたいで怖いわ!』


(声に出して突っ込んでしまった

これはしょうがなくないか?)


『見透かされてるみたいじゃなくて

知ってるんだけどね』

笑いながら指摘する白


『それで…暁零士くん…どうする?』

白は首を傾げて聞いてくる


『あのさ……あっちの世界に行ったら

こっちの世界には戻って来れない感じ?』


『いや?あっちの世界の記憶を全て消したら

こっちの世界には戻ってこれるけど……』

不思議そうな顔をする白


『本当か? じゃあ頼むよ!』


(あっさり承諾してしまった

戻ってこれるからいいと思ったからだ)


『おっけー!少し乱暴になっちゃうけど

すぐ楽になるから!』


(……え?……乱暴?

……楽になる?……どういうこと?……)




『……ょうぶか! 大丈夫か!れい!』


(はっ!ここは?…雪星町か

なんだったんだあれは…夢だったのか?)


『あ、ああ大丈夫大丈夫、少し転んだだけだし ……俺ってどれくらい寝てた?』


『五分くらい寝てたよ!お前揺すっても

何しても起きねえから心配したんだぞ!』


『まじか 心配かけてごめんな

体……はなんともないわ』

笑いながら謝り、報告をする俺


『おう!まあ何ともないなら良かった!』


『にしても変な夢見てよ……

なんか神様と話す夢で、なんでもかんでも

見透かされてるみたいで怖かったわ〜』


『どんな夢見てんだよ』

と笑いながら突っ込まれた


(そりゃそう言われるよな)


そんな夢の話をした瞬間だった

トラックが俺らに目掛けて突っ込んできた

(避けれない!)


ドン!!!!!!!!!!!!!!


俺はトラックに強く飛ばされた

(俺、死ぬのか……けど異世界行くんだっけ?

なんか……とても不思議な感覚だ)

血は出たが、痛みは一切なかった

俺の周りの雪に赤いインクが広がっていった


俺の体に雪が少しずつ積もっていく

死に行く直前、俺は白の発言を思い出した


(おっけー!少し乱暴になっちゃうけど

すぐ楽になるから!)


(そういう意味かよあの野郎!

どこが少しだ!!!!

乱暴の間違いじゃないか!?

もっと穏便にあっちへ送れないのかあいつ!

あいつあとで覚えておけよ!!!!!!!!!!)


(は〜翔太ごめんな、色々と……

こっちの世界に帰ってくるまでは

一緒に遊んでられねえや)


(また会うなら異世界で会おうぜ )


(そしてまた一緒に……)

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