202010 ジャパロボ 39

渋谷かな

第1話 ジャパロボ39

「う・・・・・・うう・・・・・・私は悪夢でも見ていたのか?」

 ベッドの上で優子は目を覚ました。

「気が付いたんですね。優子ちゃん。」

 そこに看病している令和ちゃんが戻ってきた。

「優子ちゃん? やめてくれ。私は荒んだ人生を送っているのでちゃん付けで呼ばれたことなんてないんだ。」

「まあまあ、そんなに照れなくても。」

「照れてない! いたたたた!? 傷口が開く!?」

「無理しないで下さい。まだ寝ていないといけない体なんですから。」

 大きい声を出して天罰が優子にくだる。

「それより大会は!? 全国ジャパロボ大会の結果はどうなった!?」

「さとみちゃんたちは順調に勝ち上がり、次は決勝戦ですよ。」

「そうか、良かった。もし私が居なくて負けたら祐奈教官に会わせる顔がない。」

「祐奈教官? さとみちゃんやイリスちゃんのお母さんを知っているんですか?」

「あ、しまった!?」

 悟られてしまう優子。

「分かりましたよ。優子さんは昔の祐奈さんと同じ女子高生自衛官ですね。」

「バレたか!?」

「隠し事は通用しませんよ。なんてったって、私はAIロボットですからね。エッヘン。」

 穏やかな感じでも令和ちゃんはAIロボットなので頭脳は賢い。

「バレたからには生かしてはおけない。私が自衛隊所属のパイロットというのは極秘事項。知られたからには解体させてもらおうか!」

「ええー!? 解体!? お代官様!? それだけはご勘弁を!?」

「ええー! 問答無用だ! 着物を剥いでやる!」

 どこで知識を得たのか時代劇が始まっている。

「私のご先祖様は祐奈さんのジャパロボのAIロボットだったんです!」

「なに!? 祐奈教官の!?」

「はい。ですから私は事前に女子高生自衛官の存在は知っています! だから秘密を知られた訳でもないんですよ。」

「なら、いいのかな?」

 優子はためらう。

「なんなら祐奈さんに聞いてみてください。そのご縁で私はさとみちゃんのジャパロボのAIロボットをやっているんですから。」

「分かった。祐奈教官に処分を聞いてみよう。」

 優子は電話する。

「もしもし祐奈教官ですか? 令和ちゃんって知り合いですか?」

「・・・・・・zzz。」

 しかし祐奈から返事はなかった。

「ということで、解体決定だな。ニヤッ。」

「ええー!? そんな!?」

「私のジャパロボのAIロボットになれ。」

「え?」

「それがおまえを自衛隊の鉄の掟から救うことができる唯一の方法だ。」

 優子は優子で令和ちゃんを救う方法を模索した結果であった。

「そ、そんな!? 私にさとみちゃんを裏切れといんですか!?」

「拒否するなら解体しかないな。」

「祐奈さんに相談するということでどうでしょう?」

「いいだろう。」

 いいのか? と突っ込みたくなる令和ちゃんであった。

 つづく。

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