02 詩胡(しこちゃん)
「こうやってさ。あと何回。帰れるかな。四人で」
心から。
そう思う。
自分だけが、たぶん。思春期に入るのが早かった。
自分の思春期は。多感、らしい。目が合っただけでどきどきするような、そういう、恋愛を求めるからだとこころ。
「いつでも帰れんだろ。四人でさ」
いっちゃんが肩を組んでくる。腰のあたりを蹴飛ばした。
「いてえな、おい」
「女子にきやすくさわんな。ころすぞ?」
威嚇する。
「まあまあ。生理なんでしょ」
「みかのん。だめでしょ。女の子がそういうこと言っちゃあ」
「いいっしょ。この四人なら別に」
みかのん。いっちゃんとにいにいにぶつかって、肩を組んでいる。
「友達だよな。あたしたちさあ」
「俺はそうやって、友達っていちいち口に出して確認するの、あんま好きじゃねえなあ」
「どうせあれだろ。言わずとも分かる、みたいなのが好きなんだろ。にいにいはお見通しだぜ」
「なんかさあ。格好つかないじゃん」
「なんだなんだ。あたしとおともだちじゃ不服かあ?」
いっちゃんとにいにいが、みかのんと、もみくちゃになる。
見てられないので。
目を背けた。
みかのんは、お胸が大きいし。顔もしゅっとしてて小さくて綺麗。スカートは長いけど、それを補って余りある長いお御足。
勝てない。私が勝ってるのは。スカートの短さだけ。スカートが短くったって。
なにもいいことないのに。
「わたし。先帰るっ」
走り出した。
やっぱり。だめだ。
思春期な自分には。
この四人の。友達なのか恋人なのか分からないような、この関係が。耐えられない。
恋したい自分が。
ぐちゃぐちゃに心を引き裂く。
どうしたらいいのか。
わからない。
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