第103話 久高島へ
「
たしか久高島は、元の世界で花香ねーねーが修行に行った島だ。
俺は久高島への行き方が気になっていたが、ナビーはもっと大事なことを
「
「マブイを身体から引き離す方法はいくつかあるが、身体が無傷のままマブイを落とす方法と言えば、古くから琉球に住んでいる
今までの自分の常識と
「マジムンにマブイを落とされるのが、本当に安全なんですか?」
「
マブイを何度も落とすと、
「それなら大丈夫そうですね。そうと分かれば、急いで久高島に向かいましょう」
「いいや。まずは、その
「
この世界での在来マジムンの記憶を探っても見つからない。それは、琉美も同じだったみたいだ。
「そういえば、この世界で在来マジムンを見ていないかも。カマドおばーたちとの旅でも1度も見なかったし。ねえ、ナビー。この世界の在来マジムンってどんなのがいるの?」
「向こうの世界とほとんど変わらないと思うよ」
……じゃあ、ここにもキジムナーとか
キジムナー達を思い出して懐かしい気持ちでいると、ナビーと2人で
「ナビー! それなら、俺たちでキジムナーを呼び出す儀式をやればいんじゃないか? こっちの世界のキジムナーにもできるかわからないけど」
「
俺とナビーは喜んでいたが、琉美だけは不安そうにしている。
「でもさ、キジムナーって仲良くなれればいいけど、それまでは恐ろしいイメージがあるんだよね。大丈夫なのかな?」
「あ……」
俺はキジムナーが危険だということを忘れていたので、一気に不安になった。
しかし、ナビーは不敵な笑みを浮かべながら、俺の肩をポンポンした。
「
俺が以前よりも強くなり、キジムナーレベルが相手でも対応できると言いたいのか?
ナビーからの高評価をもらえていい気分になっていると、
「キジムナーを呼び出す儀式ができるのなら大丈夫じゃな。それでは
話がまとまったので準備をすることになったが、明日から久高島に行くことを
なので、鍛冶屋の事は伏せて、萌萌の事をナビーと琉美に伝えることにした。
「2人に言ってなかったけど、
ナビーは眉間にしわを寄せながら、
「はあ!? 抱き着かれていい気にでもなったねー? あの
「だから、
今度は琉美が、心のこもっていない声で淡々と話す。
「そうなんだー。私たちに相談もなしに決めちゃったんだねー。テレパシーだって使えるのにさ」
……そうか! 相談しなかったことに怒っているのか。
「2人ともごめん。俺が悪かった。今度からはちゃんと相談するから許してください」
「許してって、別に怒ってないんだけど。それよりも、明日から久高島に行くって伝えに行くんでしょ? 早く行ってあげて」
「わかった。後で紹介するから」
俺は白虎に乗って鍛冶屋に急いだ。
すると、
「
パッと顔を上げて俺を確認すると、急に飛びついてきた。
「やっと来てくれたね! シバ様がいないと、言葉が通じない事を忘れていましたアル」
「そうでしたね。気が付かなくてごめんなさい。とりあえず、仲間に紹介したいので家に行きましょう。下地さん、これがあれば
ナビーが
「おお! 実物があるのでしたら問題ありませんよ」
「さっき頼んだばっかりなのに、コロコロ話が変わってすみませんでした。俺たち明日から
「
「はい、よろしくお願いします」
鍛冶屋を後にして家に帰ると、剛はどこかに移動させられていて、ナビーと琉美はくつろいでいた。
「ナビーさん、琉美さん初めまして。
ナビーがサッと立ち上がり、萌萌に迫った。
「アル? 今アルって言ったねー?」
「ハイ! 面倒を見る条件として語尾にアルを付けてほしいと、シバ様に言われたアル」
琉美がゴミを見る目を俺に向けて、吐き捨てるように言った。
「何それ、キモ」
琉美とは違い、ナビーは俺に親指を立てながらニコッとうなずいた。
「流石シバ、わかっているさー。中国人キャラはこうでないとねー」
ナビーを取り込むことはできたようだ。
琉美は、真剣な顔で
「でも、近くで見たら本当に綺麗な方ですね。これならしょうがないか……私的には青系のチャイナ服を着てもらいたいかも」
「アルにチャイナ服とか、でーじ最高さー! よし、
女子3人はキャッキャ、ウキウキしながら白虎に乗って、何処かに行ってしまう。
俺は1人置いてけぼりにされたが、萌萌と仲良くなれそうなので安心した。
次の日の朝。急いで作らせたという藍色のチャイナ服を受け取り、首里から西方向にある海岸に来ていた。
俺がいない間に、
本当はケンボーを同行させて、俺たちの
ケンボーの代わりに
今朝は晴天のため、目的地である
この世界での航海は危険なイメージだったが、これくらいの距離なら大丈夫かもしれないと最初は思っていた。
何事もなく数十分たった頃、船乗りの焦り声が船上に響く。
「進行方向に、
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