第51話 場違い
逃げていたナビーは、振り返り戻ってきた。
「
「
「
ナビーが
「ナビーは
為朝は飛ぶ斬撃を弾き飛ばすと、
「また邪魔者か! まあ良い、まとめて殺してくれる」
その時、
「為朝様! こやつは
「ほう。さしづめ、あやつも
「ですが、現在は
護佐丸は高笑いをしながら、為朝に刀を向けて言い放つ。
「ハハハハ……為朝、
「
護佐丸の言葉に反応したのはナビーだけで、それ以外の人は全く聞き取れていなかった。
「おい、お前が何を言っているのか全く分からないのだが?」
護佐丸が何を言ったのかナビーに訳してもらうことにした。
「ナビー、今の訳してくれないか?」
「護佐丸さんが
「3将軍を倒してきたのか!? でも、助けに来てくれたのはいいけど、仲間同士で意思疎通できないのは不便だな」
「
ナビーは
「アマミン様、見ておられますよね?
すると、俺とナビーが首にかけている
「付与してくれたみたいだね。私の記憶からの情報で訳されると思うから、会話はできるようになっているはずさー」
護佐丸はナビーに近づくと、敵には聞こえない声で本当のことを話した。
「実は、義本を倒したって言うのは
その時、俺たちに向かって為朝の矢が飛んできたが、護佐丸が刀で弾いてくれた。
「我を相手によそ見とは、馬鹿にしているのか! それに、いくらお前が強かろうが、義本と戦った後でこんなに動けるわけがなかろうが」
「そうだな、
「逃がさぬ!」
為朝は怒り狂いながら護佐丸を追って飛んでいくが、
このタイミングでナビーが頭の中に語り掛けてきた。
「今、護佐丸さんと話したけど、護佐丸さんは私が為朝にやられるかもしれないから、戦の最中に抜け出して助けに来たと言っていたさー。そのまま
「でも、舜天はこっちを警戒しているみたいだな。俺たちも
「シバは先に行って。舜天は私たちで何とかするさー」
「はあ!? 相手は舜天だぞ! みんなを置いていけわけないだろ!」
「シバは刀を使って戦っているのに、私では教えられることがなかったさーね?
キジムナーが頭の中ではなく、直接話しかけてきた。
「シバのセジと時間稼ぎのおかげで、オラはだいぶ回復した。だから、気にしないで行ってこい!」
白虎に乗った琉美も背中を押してくれる。
「私もいるし白虎もいるから大丈夫だよ! それに、為朝相手では護佐丸さんもどうなるかわからないだろうから、早く行ってあげて!」
このメンバーなら大丈夫だと確信したので、為朝と護佐丸を追うことにした。
「わかった。
俺が走り出すと舜天が切りかかってきたが、キジムナーのガジュマルが舜天を妨害してくれたので構わず駆けて行った。
ナビーたちのことは心配ではあるが、為朝と護佐丸の戦いを見ておきたい気持ちが大きくなっている。
敵の大将の強さがどれくらいなのかを知れる貴重な機会でもあるので、目に焼き付けておきたい。
それに、異世界琉球に行く予定なので、ラスボスの強さを知っても決心が揺らがないかを確認したかった。
俺は少し離れて、隠れながら見守ることにする。
「なぜ逃げる! お前は我を倒しに来たのではないのか?」
「バカ言うな。
「我と手合わせをして、生き残れると思うなよ!」
為朝が上段から刀を振り下ろすと、風圧と一緒に
「ヒンプン・
10枚重ねたヒンプンを自分の前に設置しながら、後方に跳んで距離をとった護佐丸は、居合の構えをした。
「
襲い掛かる
抜刀された刀身がメラメラと炎を
一息つく暇もなく、為朝が切りかかってきたのを燃える刀でいなしたが、
それからは、為朝の攻撃をかわしたり、いなしたりするだけの防戦一方になってしまっている。
それなのに、為朝は雑に刀を振り回して馬鹿にしているように見えた。
「ほらほら、こんなものか!」
為朝は攻撃のスピードを上げると、護佐丸の刀を弾き飛ばした。
「うっぐ。まさか、ここまでとは……」
「舜天と肩を並べるくらいかな? あの
為朝は鬼面に右手をあてがうと力を
「まあ、我には物足りない敵だが、
鬼面が顔面と一体化したと思ったら、もともと筋骨隆々だった為朝の身体が倍以上に大きくなり始めた。
「絶望と共に死ね!」
刀をなくし無防備な護佐丸に、漆黒の鬼の右こぶしが襲い掛かる。
俺は助けなければと思い、セジオーラ全開にして飛び出そうとした。
しかし、護佐丸は腰に残っている
「ヒンプンシールド! 護佐丸さん、今のうちに刀を!」
少しひるんだ為朝と護佐丸の間にヒンプンを設置し、為朝の意識を俺に向けさせることで護佐丸に刀を拾ってもらう時間をつくる。
「誰だ!」
ヒンプンは、為朝から溢れている
為朝に視認されると想像をはるかに超える威圧感に、足がカチコチに固まってしまった。
……動け、動け、動け!
「もう1人来てたのか。ふん、お前は場違いだ。邪魔にもならぬ」
護佐丸は刀を拾うと何も言わずに城内に駆けて行った。
「逃がさん!」
俺のことは眼中にないようで、為朝は護佐丸を追って城内に向かっていく。
為朝の後ろ姿を見て、やっと足が動くようになった。
……
場違いなのは俺自身も分かってはいるが、今まで感じたことがない、体の奥底から
……今はまだ無理でも、いずれは絶対に俺が倒してやる!
かなり険しい道になるだろうが、最終目標を
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