☆チュートリアル☆

          『時計じかけのオレンジ』に、愛をこめて。

                                     


 そこのあんた。まずは鏡を見て欲しい。姿見よりは手鏡がいい。

 持った? いいかい?

 はい、じゃあ見て。

 1。2。3。

 はい、おしまい。いくらカワイイからって、見惚れるのはもうおしまいにして。

 鏡に映ったのは誰だった?

 もちろん、あんただよな?

「もちろん」と思ったあんた、いい子だ。合格。

 おれの話を聞くに足りる素敵なお人だ。


 ハロー、ハロー、ハロー。愛すべきイカレポンチなみなさま。

 おれはのメリー。以後お見知りおきを。

 めぇ。

 最近のゲームなんかは過保護でイケねぇと思うが、現実はある程度説明が欲しいもんだ。

 なにせ、セーブもロードもねぇんだから。

 今から語ることは、おとぎ話みたいなアンリアルな話だ。でも、おれにとっては現実だ。

 そこんとこ、よくわかってくれ。

 ホントは色々と説明したいことがあるんだが……やめるか。

 前置きが長いと、ダレるわな。校長先生の話みたいなもんだ。貧血で倒れられたらたまんねぇ。とにかく、あんたはおれの話を聞いてくれるだけでいい。

 だが、一つだけ頼みがある。

 おれの話を聞き終わったら、もう一度、鏡を見てほしいんだ。

 それだけ。

 そいじゃ、はじめるとしよう。早速、お客さんがやってきた。

 羊が1匹。

 めぇ。

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